森のそよ風のブログ

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新NISAのための投信銘柄研究


こんにちは。


直近1カ月と 近年3~5年のパフォーマンスについて、主な投資信託を比較分析してみました。


下の表内の銘柄は、筆者が運用しているものもと保有していないものを取り交ぜて、比較的著名で人気のあるものを、独断ではありますが選んで対象としました。


バランスファンドについては、組入れ銘柄の条件が非常に多岐にわたり、公平な単純比較はできないため、単に一例として セゾンのGBFだけを 参考用に取り上げました。
セゾンのGBFは、直販中心で取り扱う証券会社も多くなく、やや買いにくい商品ではあります。



表:投資信託 この1か月 と 近年の パフォーマンス比較



先月の10月は、どの投信の成績も総じて冴えませんでしたが、既に9月までに下げが先行していたダウ系のファンドは比較相対的には10月単月の下げは少な目で済んだようです。ただし、投信の良さは1か月だけで判断するものでは もちろんありません。
また、バランスファンドは、債券を半分程度含んでいて年に2回程度リバランスもしているので、下落局面では浅い傷で済むようです。ただし長期のパフォーマンスは株式に対して どうしても劣ります。ただ、例に挙げたセゾンのGBFは、長年に渡ってリターンが堅調ということで一定の評価はあります。


さて、バランスファンドは 一旦 脇に置いて、株式ファンドについて若干の考察をします。


表で並べて比較してみて、トータルリターンも リスク(標準偏差=対象期間内のブレ幅)も、銘柄によってかなり異なると再認識することができます。もちろん対象国の市況や長期金利の水準に強く影響を受けるので、経済環境が変わればパフォーマンスは逆転することもあるでしょう。


さて この先の作業として、新NISAで どの投信を主力に据え、別のどの投信を組み合わせて 大きくなくてもそこそこのリターンを確保し、また分散してリスクを緩和すべきかよく吟味してみたいと考えています。特に、シニア層のEXIT後の資産活用 (要するに少額ずつ長期に亘って現金化して活用すること) においては、追加投資を停止している場合が殆どのため下落時のドルコスト平均法の恩恵を得られないだけでなく、大きな下落局面での定額取り崩しは元本の口数を大きく減らすため、市況の揺れに直結して基準価額が振られるファンドを持つことには注意が必要です。そういう意味でシニアは、今後10数年以上に亘って積立て形成を図る若年層とはライフステージが異なるため、インデックス一辺倒で資産の安定性を確保できるのかは、既に多くの議論や提言がなされている状況です。


シニア個々人の他のアセットの状況等によっても条件は異なるので、「ある特定のファンドが あらゆるシニア層に最適だ!」と 一概に言えるものはありません。


しかしながら、そう言っているだけでは話が進みません。
究極に大きく分ければ、「リターンに やや重きを置くか」、「安定性の良さ、つまり無用な上下動の暴れが小さいことを重視するか」の2択になるでしょう。
そう言った目線で 複数のファンドを吟味検証する必要ありです。例えば、上表の「米国と世界」のグループを眺めてみると、同じ株式100%の銘柄であっても「トータルリターンの欄」と「標準偏差の欄」では、緑色に塗られた場所が全く違います。 株式ファンド以外の他の種類のファンドも視野に入れたとしても、リスクの最小化にだけ目が行ってしまうと、バランスファンドがダントツに優れていますが、将来徐々に部分現金化を進めて行くと、枯渇までの年数が目標とする期間よりも短くなることも考えられます。


運用効率を測る際にシャープレシオという指標が よく参照されます。シャープレシオは優れた指標であることは間違いないところです。しかしながら、ある特定の5年間の最後で非常に大きなリターンをもたらしたファンドは、その期間内の途中経過の上下動が いかに激しくても、そのリスク (=振れ幅、標準偏差) の大きさが期間の最終リターン率の大きさにかき消されて、シャープレシオが メンタルや 実際の実用性よりも数字上は良く出る場合があります。逆に債券ファンドなどで、一定期間において極めて小さい上昇率ながら比較的直線的に上昇した場合などは、資産があまり増えていないのに高いシャープレシオの数字が出る場合もあります。従って、シャープレシオが、目的に対して常に万能のツールであるとは必ずしも言えないことは注意したいところです。下落耐性に着目したソルティーノ・レシオという指標の利用が一般化していないのが残念です。 
やはり大事なのは、リスク率とリターン率について様々な期間で「実際の数字」を見比べ、その両者の経年推移や全体的なバランス感を吟味することが有効です。また、リーマン、米中貿易対立(2018年)、金利急上昇など、いくつかの経済ショック局面での「最大下落率」を数字で比較して自分のリスク許容度や現金化活用方針に合うのか検証してみることが大事であると思われます。



さて、バランスファンドが シニアが運用する主力コアの一角として非常に有効であることは同意として、その上で上記に述べた種々の観点を総合的に考えると、1,2種類のファンドだけでは 自らが望む幾つかの条件を全て満たすことは難しく、自分の「長生きリスク」にからめて 資産を何年間長持ちさせたいか、という基本方針とセットで考える必要がありそうです。そのため、表計算等を利用して、候補のファンドと現金化の計画を長期間の総合シミュレーションで突き合わせしてみて、数字でおおよその 感触を掴んでおくのも一つの方法です。


資産を長持ちさせるために一定のリターンを着実に確保しながら同時に上下動も抑えることの難しさは、世の中に、「標準型」「成長重視型」「債券中心型」などと銘打って、バランスファンドが非常に多く提案されていることからも覗えます。ターゲティングが単純簡単には行かないということの証左でしょう。


新NISA時代のEXIT後の(運用しながらの)現金化活用は、結局は特長や性格の異なる複数の幾つかのファンドを「リスクの分散」も兼ねて組み合わせて備えておけば、そのポートフォリオは市況のボラティリティーとの間の相関性が低くなり、あまり振られずに、じわじわ増やして長持ちさせるという目的に近づけるかも知れません。



さて、表を見て、もう一つ気づいた点として、「国内株の投信はどうなのか?」というポイントがあります。
長らくの間、国内株は米国株と比べてパフォーマンスが低いと見られて来ました。
しかし上の表を見てみると、あながちそうとも言い切れません。
もちろん、直近の3年間だけで論じるのは不適切です。しかし、必ずしも「(米国や東証の) インデックスファンド」にだけ こだわることなく、調査対象を少し広げて、年数も少し広げて、再検証・再評価するに値するのではないでしょうか。


そういったことを総合的に勘案して、筆者も今 採用するファンドを抽出検証中の状況です。無理に銘柄数を少なく減らす実質的な効能は特に感じないので、性質の異なる、リスクを相補う数種類を組み合わせて保有するのが良いと考えている状況です。



なお、上記の表は、数字の打ち間違い等を含んでいる可能性があり、その結果一部に誤りが無いとも限りませんので、参考にされた方は 是非ご自身で運用会社サイトや WEALTH ADVISOR等のサイトに行かれてご自身で数字を拾って 多方面から比較検証をされてください。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。