森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

米国 ポートフォリオ安定化 のフォローアップ(続編)


こんにちは。


昨日のブログで、筆者の米国運用のポートフォリオの「ソルティノ・レシオ」が、かなり改善してきたことを書かせていただきました。
ソルティノ・レシオとは、”下落しにくさ” を示す指標です。



今日は、マイ ポートフォリオ内の銘柄配分率と、下落緩和の性能について、見える化してご紹介したいと考えます。



1.ポートフォリオの銘柄配分



19位以下は、Othersに含まれていますが、参考までに書きますと、


19位:T(AT&T) 1.9%、20位:ASML 1.6%、21位:KMB 1.3%、22位:TROW 1.2%、
23位:IXN 1.0%、24位:UL 0.9%、25位:XLY 0.9%


・半導体株は3銘柄合計で7%くらいで、案外少なかったです。半導体は1サブセクターなので、これくらいで良いのかも。
・個別株で高配当のBCEの比率が高いですが、BOX銘柄で5年の底値で買えているので不安
 はありません。
・債券(SPAB、BNDX)の比率は12.3%で、現時点ではさほど高くない状態です。




2.騰落カーブ


それでは、シミュレーションした 2018年4月初め~2021年3月末 までの騰落カーブを見てみましょう。



赤の線は、ベンチマーク(比較の基準)であるVOO (S&P500) のたどった騰落カーブです。
青の線は、My Portfolioです。
青い線のほうが、ブレ幅が少なく穏やかですね。でも全体として見れば、赤い線に概ねしっかり追従していますね。



2018年4月初めに 100万円を一括で投入した場合、2021年3月末の投資終了時の収益は、
配当と含み益を合わせたトータルリターンで、


(1)トータルリターンの比較
                                           VOO               My Portfolio
配当再投資なし                     50.5万円             47.4万円
配当再投資あり             59.2万円          58.5万円


となっています。収益を比較すると、
配当再投資なしでは My PFよりも VOOのほうが6.5%ほど多いですが、配当再投資ありの場合は、ほとんど差はありません。(VOOが1.2%多い程度で誤差範囲内。)



(2)下落耐性の比較
一方、騰落グラフをみていただくとわかりますが、2018年の11月ショックの場合も、
2020年早春のコロナショックの時も、赤線のVOOのほうが下落幅が明らかに大きいです。
My Portfolioの下落幅は、VOOに比べて3割ほど少ないことが見て取れます。


これが、「ソルティーノ・レシオが大きい(=優れている)と下落幅が小さい」ということを視覚的に示したものです。



(3)考察
3年間に渡って100万円を運用した場合、その最終リターンは、VOOの方が、
My Portfolioに対して0.7万円~ 3万円 勝っていますから、
単純にVOOのほうが良い運用手段だと断定的に言えるでしょうか?


筆者は、必ずしも単純にはそうは言えないと考えています。
その理由は「投資家は いつ投資開始して、いつ売却換金するかわからないから。」です。
安値で買いたくとも、必ずしも深い押し目で買えるとは限りませんし、また、売る気がなくてずっと持っているつもりでも、何らかの生活の事情でやむなく売らなければならない場合もあります。つまり、売り時が自由にならない場合はあります。


上の騰落図で言えば、たとえば結果的に不本意にも高値で買ってしまい、やむを得ず安値で売らなければならない場合もありますから、高値から安値への「谷」が深いと赤字になり得ましす、仮にたとえ儲けがでても、その金額は、タイミング次第でそれまでに蓄えた含み益を大きく目減りさせる場合もあると考えなければなりません。


誰しも判断を間違えることはありますし、人生には様々な事情があることを想定して総合的に勘案すると、「期間リターン率が 多少高い銘柄であっても下げ相場で落ち込みが大きい銘柄」よりも、「リターン率は少し譲るが下げ幅が少ない銘柄」のほうが、総合的には有利であると言えなくはないのです。
ソルティノ・レシオは、そういったことを判断するのに大きな意味を発揮する統計指標です。



一つ、念のため誤解の無いように申し添えますと、VOO(S&P500)を批判しているのではありません。VOOは、全米総合ETFのVTIと並んで非常に優秀なETF銘柄です。
VOOか VTIを選んでおけば、継続して7, 8年以上保有すれば、99%の人は 金額の大小は別として、いくばくかの収益が出ることは歴史的にデータが証明しています。
筆者のポートフォリオもVOOをコアにしているからこそVOOとほぼ同等のリターンで、VOOよりもソルティノ・レシオで勝るポートフォリオを 結果的に組むことができています。
VOO無しでここまで辿り着くのはほぼ不可能だし、更に言うと意外なことにVOOに加えてQQQかVGT無しでは不可能でした。
(VOO, QQQという超メジャーな2つのETF無しで個別に組んで性能の出るポートフォリオを作るのは、余りにも難し過ぎます。)
他方で、20数銘柄も用意しなくても、トップ10+α の銘柄でこの特性のほとんどが決まってしまっているだろうとは思います。



さて、My Portfolioがなぜ、『VOOとほぼ同等のリターンで、VOOよりもソルティノ・レシオで勝る』姿になったのか、筆者にもその理屈・理論は、正直わかりません。
想像するに、一つには債券ETFが一定の貢献をしているでしょうし、高成長ETFの対極に位置する増配堅調ETFや 平均的な成長とディフェンシブ性を合わせ持つ日用品ETFも一定の貢献をしていると想像します。


さて、「値動きの異なる証券を組み合わせた運用」は、株だけの運用よりも 単なる足し算以上の安全性・補完性が得られることが既に知られています。ただし、たとえば債券が多すぎるとリターンはどんどん下がりますから単純ではありません。


My Portfolioの内部には、VOOの値動きとは異なり、また債券の値動きとも異なる要素が、少なくとも数種類入っているために、様々な地合いの変化に対応して相補って、リターンと下落抵抗力が両立する特性が現れてくるのだと想像します。
これは統計学(ベクトル統計学?)の妙だと思いますが、ダイバーシティが新たな価値を生み出していて、これが投資の分散効果の本質なのでしょうね。


なお蛇足ですが、似たような性質の銘柄だけを集めたETFであるVIGオンリーでは この特性を出せないことは確認しています。
VIG単独で同じ対象期間でシミュレーションしてみましたが、ソルティノ・レシオでMy Portfolio にかなりの差をつけられてしまいました。



そういう意味で、米国だけでなく、他の先進国や新興国の成分を、それぞれ ある割合で混ぜ合わせると、より妙味のあるポートフォリオが組めると考えます。
しかし米国以外の要素が逆に多すぎると、米国の経済成長のゲインが薄まるだけでなく、新興国の高いカントリーリスクが出過ぎて逆に困ることになるかも知れません。


最適解がどのあたりの配分率に存在するのかクエスチョンで、想像もつきません。
「とりあえず先進国と新興国を少し持っているから それでOK !」とか、「米国:先進国:新興国=4:1:1 で決まり ! 」とかいう簡単な話だとは思っていませんが、それでも米国オンリーよりは米国外の要素を多少加えた方が、ダイバーシティ効果でリスクには少しは強くなるでしょうかね。
難しいですが、面白いですね。



本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。