森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

ポートフォリオの安定化 <完結編>


こんにちは。


前回のブログ「ポートフォリオの安定化 <その3>」にて、市場インデックスETFであるVOOやQQQとの組み合わせで筆者のポートフォリオの性能改善を支えているサテライト銘柄は、下記の主要3指標が優れているはずだと考えて分析を進めてみました。


 ① トータルリターンが優れていること。(株価の成長率が比較的良い)
 ② 対象期間全般にわたって配当利回りが高い
 ③ ソルティノ・レシオが大きい(下げ地合いでの下落幅が市場平均より小さい)


その結果、上記3指標の総合得点において、
AVGO, TSM, ICLN, ASML, PEP が、筆者保有銘柄の中ではベスト5であろうという一つの結論に辿り着きました。


この分析の過程で、いくつか気づきがありましたので、改めてご紹介したいと考えます。


『トータルリターン』、『配当利回り』、『ソルティノ・レシオ』の3指標のランキングについて、個々に見てみたいと考えます。


3指標ランキングを再掲致します。




今回は、ベンチマーク(比較検証対象)であるS&P500指標に準拠するETF銘柄である”VOO”のポジションを、表中に明示してみました。
そして、それぞれの性能指標について、S&P500を上回る数値を示している銘柄を色枠で囲んでみました。
(なお、表内の25銘柄は、あくまで筆者が保有している銘柄であり、保有していない多数の銘柄の中にもっと優れた銘柄がある可能性が十二分にあることは注記しておきます。)


先ずは、これら赤枠、青枠、緑枠の3つ 全てにエントリーしている銘柄が(総合得点を出す以前に)文句なく、筆者のポートフォリオトータルでS&P500を上回る優良な結果を出すことに貢献していると考えられます。
それらは、AVGO(Broadcom Inc.), TSM(台湾セミコンダクター), XLP(生活必需品セクターETF), VIG(連続増配株ETF), PEP(ペプシコ) であります。


さて、個々の指標ごとに見て行きたいと思います。


(1)トータルリターン(赤枠)
先ず、最近の株価上昇が著しいICLN (クリーンエナジーETF) が第1位でした。
次に、ここ1年で大きく伸びている半導体関連のグループに属するTSM, ASML, AVGO が上位にランクインしています。
3番手グループが、VGT, IXN, QQQ というハイテク銘柄です。納得できます。
そして、それに続くグループが、PEP, VIG, XLP です。
VIGは連続増配ETFで業績が地道に成長する企業群です。XLPは生活必需品銘柄を集めたセクターETFで経済ショックの影響を比較的受けにくく、着実に需要を獲得していると思われます。PEPは、生活必需品セクターの代表選手です。本3銘柄は、筆者は、いぶし銀と見立てています。
これら、4つの塊は、ウィズコロナ並びにアフターコロナ期待の市場動向を表していて興味深いです。


(2)配当利回り(青枠)
次に、青枠で囲った配当利回りを見てみます。
筆者保有銘柄では、T(AT&T)が第1位でした。 断トツです。 ただ株価自身は、コロナ大底後からの戻りが相当に苦戦しています。
これに続き、配当銘柄として良く知られた銘柄が多く登場しておりますので、解説の必要はあまりないでしょう。
ここでの筆者のポイントは、AVGOとTSMです。成長分野のハイテクに属するこの2種の半導体銘柄が、配当でもVOOと同等かそれ以上の地位を占めていることが改めて注目されます。連続増配のVIGも健闘です。


そして非常に興味深いのは、「トータルリターン」の表の順位と、「配当利回り」の表の順位が、面白いほど逆転しているということです。
「グロース投資」と「高配当投資」は基本的に矛盾し、両立は非常に困難であることを示していますが、その中にあって、赤枠と青枠の両方にエントリーしている銘柄は、極めて稀有で貴重な存在です。



(3)ソルティノ・レシオ(緑枠)
次に、緑枠で囲ったソルティノレシオを見ます。 ”下落しにくさ (売られにくさ) ” の指標です。こだわり長期保有の株主比率が比較的高い場合も、ソルティノが高いかも知れません。


SPAB(総合債券)やBNDX(国債先進国債券)が上位にあるのは、当然と思われます。
そして、2番手群でICLN, ASML, TSM が居ますが、最近の情報技術需要を支える半導体、あるいは、脱炭素期待銘柄であり、コロナ前後で急速に値を伸ばし、また最近3年では大きな下落が起きていないために、ソルティノレシオが3.0を超える好成績となっていると推測します。 VGT, QQQ, IXN, MGK も程度の差はあれ、似たような傾向のためと考えます。
もしも2021年中央あたりでの景気回復が期待外れの場合に大きな市場調整が起きると、レシオが下がる可能性はあります。
そして、上記の群に続く中に、AVGOやPEPが居ます。この2社は、上場来20年以上の歴史がありますが、長期的に右肩上がりの成長を続けています。長期の歴史を経てもソルティノレシオを高い値で維持できている銘柄は貴重な存在と改めて認識しました。


ちなみに、VOOはソルティノ・レシオが、ちょうど1くらいで覚えやすいです。
また、T(AT&T)は0.11で、筆者の現状保有銘柄中の最下位です。 Tは、株価の上がり下がりが意外に激しいため、平均購入価格が底値付近でないと相場下落時に含み損がかなり大きくなり、場合により20~30%の含み損が数年続くリスクがあることを示していると言えます。



まとめ
このようにして見ると、それぞれの銘柄に個性があって非常に面白いとともに、銘柄選びに多くのヒントを与えてくれると思われます。


もちろん過去のデータが未来のすべてを決定づけるわけではありませんが、銘柄の業績がごく短期的に激変することは (例外を除いて) 少ないので、現有銘柄の見直しや、新たに銘柄選びを始める際にはこういった傾向データは一定の参考になるのではないかと考えます。


本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。