森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

ポートフォリオの安定化<続編>


こんにちは。


昨年暮れの12月30日のブログで、最近自らのポートフォリオが安定化して来たように思う、と書きました。
本日は、その続編を書いてみたいと思います。


1. 安定化の感触 
昨年11月の後半あたりから、自らの運用ポートフォリオが ”安定化” したように感じ始めました。
安定化というのは、
・第一に、マイポートフォリオが市場インデックス上昇に ほぼ追従できつつあること。
・第二に、マイポートフォリオ評価額の値動きに荒さがなくなり、市場全体の下落局面でも
  下げ幅がインデックスの下げ幅以内に収まる日が多くなったこと。
の2点を指します。


そこで、上記の感触が、単に錯覚か、あるいは実際の数値面で確認可能なものなのか、米国市場での運用資産の中身と挙動を検証してみることにしました。


筆者は、自分のポートフォリオの日々の値動きに一喜一憂する考えは全くなく、むしろその逆で、ポートフォリオの性能を上げて 早く放置できる態勢に持って行きたいと考えています。安定なポートフォリオができれば、2021年はいじらずに放置したいのです。


(放置できる)米国投資のリターンの目標の姿は、成長がS&P500指数にぴったり付いてゆき、経済ショックの下落局面でもSP500指数の下落以内で踏みとどまり、(欲張りですが) 配当金がVOO(SP500)よりも多くいただけることです。


しかしながらこの目標は、言葉で言うほど簡単ではありません。なぜなら、配当が欲しいと言って買った高配当銘柄の多くは、株価があまり成長せず、経済ショックではS&P500よりも目立って大きく下落することが多く、ある程度戻ったと思ったら、(全てが全てそうだとは思いませんが)次の経済ショックで再び売り込まれるリスクを持っているということを、これまでの経験で学習して知ったためです。


全米優良500銘柄で構成するS&P500並みのパフォーマンス(&安定性)と 配当インカム狙いの両立は、容易ではありません。



2. 安定化の検証 


さて、自分のポートフォリオが安定化したと感じる感覚が正しいのかどうか検証する手段として、以前にも用いたことがある portfolio visualizer の Backtest Portfolioというツールを使ってみました。
https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio


《筆者のポートフォリオの構成》
”Backtest Portfolio”は、最大25銘柄までの構成のポートフォリオについて、過去の市場の値動きデータを用いてシミュレーションし、そのリターン、配当額、各種統計情報などを出すことができます。
実際の筆者の米国運用は40銘柄ほどなので、そこから評価額の多い順に上位25銘柄を抜き出します。
その25銘柄は下表の通りです。『My Portfolio』と名付けました。
上位25銘柄で総評価額の90%を占めているので、私の米国運用の性能をほぼ物語る結果がでるはずです。


なお、合わせて配当利回りも併記しておきました。
年配当利回りの「購入額比」欄の数字は、筆者の場合のものです。





《バックテスト・シミュレーションの期間設定》


バックテストで出るリターンは、対象として切り出す期間によって多少異なりますので、そのあたりのバラツキを確認するため、次の4通りで行うことにしました。


A:直近の7か月(2020年6月~2020年12月)・・・・コロナ底からの一定の回復以降
B:直近の12か月(2020年1月~2020年12月)・・・・コロナショックを含むの年初来
C:最近の2年4か月 (2018年9月 ~ 2020年12月)
        ・・・・2019年6月の米中貿易摩擦ショックを含む期間
D:中期的な7年6か月 (2013年7月 ~ 2020年12月)
        ・・・・2015年夏~冬の中国株暴落の世界波及ショックを含む期間



《シミュレーションで算出した結果の注目ポイント》


ソルティノ・レシオ
筆者は、ポートフォリオの安定性指標として、「ソルティノ・レシオ」を重視しています。
ソルティノ・レシオはあまり知られていませんが、良く知られたシャープ・レシオの改良版です。
ソルティノ・レシオの計算式は、リターン率(%)/下落リスク(%) です。
リターンが高ければソルティノ・レシオは大きくなり、下落リスクが小さい場合も
ソルティノ・レシオは大きくなります。
つまり、小さな下落リスクで大きなリターンが得られる投資対象のソルティノ・レシオは大きい値となり、優秀な投資対象ということになります。
(逆に、ソルティノ・レシオが小さい投資は、リターンが小さいか下落リスクが大きい投資だということになり、投資対象としては旨味が少なく リスキーです。)


リターン
このブログでのリターンは、評価額上昇額と配当額の両方を含むトータルのリターンで表しております。
  ※例えば、元本1万ドルが, 配当と評価額計で1万2千ドルになった場合は20%と表記
   例えば、元本1万ドルが, 配当と評価額計で3万ドルになった場合は200%と表記。


では、バックテスト・シミュレーションの結果を見てみましょう。



(1)リターンのチャート
 チャートですが、煩雑になるので、期間A(直近7か月)期間D(中期7年)だけ、表示します。
 字が小さくて見にくいですが、いずれも、青い線が、「My Portfolio」です。





2020年の6月から年末(直近7か月)ではVTIが一番勝っていますが、7年6か月の中長期では、My Portfolioが最も勝っていることが見て取れます。
(期間Bと 期間Cのチャートもありますが、省略します。)


このように、切り取る期間でパフォーマンスの順位がかなり変わって来ることが少なくないです。
その要因は、ETFの内部構成株の業績変動、ETFの入れ替え、経済環境特性、投資家の嗜好等において、数か月おきに多少の変動があるためと推定します。
対象銘柄を いつ買って、いつ評価するかで、かなり異なります。


ちなみに、B:2020年1月~12月のチャートは省略しましたが、順位はまた異なります。


さて、チャートだけでは下落リスク(安全性)が見えないので、総リターン、ソルティノ・レシオ、配当額 の一覧比較表を作ってみましたので、掲載します。



(2)総合評価(一覧比較表)



緑色が最優秀①着、 黄色が次点②着 です。





これらを見ますと、My Portfolio が、短期から長期に渡り、なかなか健闘していると思われます。
また、それぞれの期間で、VTI、VIG、VOOともに、流石に優秀です。


《見どころ》
〇 筆者が重視するソルティノ・レシオですが、再直近では、VIGが1番で My Portfolioが2番手になっており、それ以外の期間では、My Portfolioの成績が良いです。
〇 配当は、トータルリターンの一部ではありますが、My portfolioが 結構 配当を稼げています。
〇 筆者が中核に据えているVIGも、最近の2年半以内では、配当で好位置につけ、株価の下落幅が小さいのが非常に嬉しいです。



3.まとめ


自らのポートフォリオが、S&P500に追従するリターンを得られ、配当も十分に良く(VOOの1.8%を上回る 年2.4%以上)、VIG並みに相場下落時に強いという結果が得られ、放置に向けて自信が得られるものとなりました。


もちろん、バックテストは未来を保証するものではなく、また未来は誰にも言い当てることができないことも十分に承知しています。


が、将来とも、景気の大きな上昇期もあれば、貿易摩擦や金融リスク、パンデミックリスクなど歴史は似た形で繰り返すでしょう。シミュレーションで得られた結果には ある程度の誤差はあれ、そういった経済変動に、そこそこ耐えられそうなポートフォリオであれば、長期保有の安心感につながります。
老後資金の目標値にはまだ随分足りないので、長期で市場から撤退せずに、ある程度安心して、また、あまりいじらずに放置に近い状態で運用が継続できれば、これに勝るものはないと感じています。


ここまで分析して、一つの興味が湧いてきました。
それは、素人が試行錯誤で構築したポートフォリオが、S&P500成長への追随と、S&P500を若干上回る配当を得られているとすれば、その構成内部に何かキーとなっている銘柄が2,3存在していると思われます。
そのあたりを分析して、次回のブログで掲載してみたいと考えます。(いつになるやら。)


本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。