森のそよ風のブログ

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稲葉 (曜変) 天目茶碗


こんにちは。


 今日は、丸の内の明治生命館の中にある「静嘉堂@丸の内」という美術館の展示を観に行きました。
 普段はあまり観に行かないカテゴリーですが、今回たまたま静嘉堂の無料招待券を貰ったので、せっかくなので行ってみました。
 静嘉堂は、岩﨑彌之助(三菱の第二代社長)と岩﨑小彌太(同 四代社長)の父子二代によって創設された古美術品の美術館で、現在、国宝7件を含むおよそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を収蔵しているとのことです。


 下の写真は、明治生命館のエントランスです。
 クリスマスに向かうこの季節らしい装飾です。



「静嘉堂@丸の内」は、ビルの1階、このクリスマスデコレーションの裏にありました。
 今回のコレクションの展示は、
  〔開館1周年記念特別展〕
   二つの頂  一宋磁 と 清朝官窯
と銘打っていました。


 筆者は、古代から近世の中国陶磁器については残念ながら全く知識も造詣もなく、展示の真価を十分に理解する余裕もなく、どちらかというとスピーディーに見終わろうとしていました。
 さて最終展示室の最終展示物の前に立った時、ごく小さな展示品に、ふと足が停まりました。
 凝視すると、見たことの無い小宇宙が描かれた一個の「茶碗」でした。
名札には、国宝 曜変天目 (稲葉天目) と表示されていました。
 (南宋時代<12ー13世紀> とあります。


 残念ながら撮影禁止でした。


 下の写真は、美術館入口のデジタルサイネージを、係員さんの許可を得て撮影したものです。



 展示室を出て休憩室で改めて当館のホームページを調べると、以下の解説がありました。
「曜変」とは、元来「窯変」を意味した言葉とされ、文献で「星」または「輝く」を意味する「曜」の字が当てられるようになるのは、15世紀前半頃からである。室町時代の文献『君台観左右帳記』において、「曜変」は、唐物茶碗「土之物」(陶製の茶碗)のうち、もっとも貴重で高価な茶碗として、分類格付けされてきた。福建省建窯の焼成品で、これは偶然の所産と見られている。
静嘉堂文庫美術館所蔵の曜変天目(茶碗)は、もと徳川将軍家所蔵であったものが、三代将軍・家光の時代、春日局を経て、後に淀藩主となる稲葉家へ伝えられたとされる。今日、世界中で現存する曜変天目(完形品)は、日本にある三碗のみ、京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館所蔵の各一碗と本碗で、すべてが国宝に指定されている。


 以上のように解説がありました。


観れば観るほど、茶碗の中の小宇宙に吸い込まれて行く気持ちになります。
その魅力は、現代でも多くの陶芸家たちが曜変天目茶碗の再現に挑戦し続けているというところにも覗えます。


 美術館を出て、当美術館のある 明治生命館ビルの見学コースに回ってみました。
  
 この明治生命館は、明治生命保険相互会社の 当時の新社屋として1934年 (昭和9年) に竣工したもので、その後 古典主義様式の最高傑作として高く評価され、1997年に昭和の建造物として初めて国の重要文化財に指定されたそうです。
  

 
 無料の見学コースがあり、明治生命の、旧本店の営業接客フロアや 役員執務室、役員会議室などを見学することが可能です。
 店舗営業フロアは、老舗の銀行の伝統的な様式の1階フロアに似た構造です。
 と同時に、国内で最もフロア価格が高額なこの一等地で、(1階以外は) 実業に供されることもなく保存されている旧明治生命館の存在を不思議に感じるものです。 文化財保護法ですね。


役員応接室


 丸の内は三菱グループが主に開発して来たとのことですが、曜変天目の魅力に加えて、丸の内の歴史を改めて感じた一日となりました。


 ではまた。