森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

私の米国株投資の「リスク&リターン」の分析


こんにちは。


先日は、筆者資産の米国運用の『短期的な損益率傾向の分析』を試みて掲載しましたが、
今日は、筆者のそのポートフォリオが、中長期的に見て実力はどうなのか?とりわけ、
米国の代表的なETFである「VTI」等と比較して、リターンをもたらすパワーやリスクの
水準が、どの程度なのかを検証してみたいと考えます。


1.分析手法


   Portfolio Visualizer の バックテスト機能を用います。
 ツールのURLは下記です。 
    https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio


このツールは、自分の保有銘柄(またはポートフォリオ)の一定期間のトータルリターン
を推定することができる優れもので、誰でも無料で使えます。
過去の景気変動や経済ショックを反映した米国株式市場のデータを保有しており、また、
全銘柄の登場以来の値動きデータベースを持っていますので、バックテストによって現実
の市場で起きた値動きの傾向を反映したリターンを推定できます。もちろん未来は誰にも
言い当てることはできませんので、あくまでも、「過去のアップダウンが、将来も似た
ような形で起こるとしたら、何年後かのリターンの一つの推定値としてこのような数字に
なるだろう。」、という使い方になります。



2.My ポートフォリオの内容


筆者の保有銘柄の時価評価額の上位15銘柄を、分析対象ポートフォリオとします。
(上位15銘柄で金額の99%をカバーしていますので十分でしょう。)
15銘柄の評価額ベースでの保有率は下図の通りです。実際の金額は省略させていただき
ますが、保有率の分布としてご覧ください。



3.対象銘柄の 性格別・セクター別 分析


 Portfolio Visualizerのバックテストをやると、結果としてセクター別の分布分析も同時
にやってくれます。


 (1)対象銘柄の 株式債券別・規模別 の分析結果



大型株が多く、成長株とバリュー株が ほぼ半々です。  中型は現時点 バリュー株のみ。
債券が、23%ほどあることがわかります。
米国株以外(欧州企業のADR株)は、4%ちょっとです。



 (2) セクター別分析



セクター別では上記の通りです。先日アップしたブログでは手作業でセクター分析しましたが、今回の方が正確だと思います。
情報技術セクターは主にキャピタルゲインに期待し、コミュニケーション セクターは
主として配当狙いです。



4.バックテストの期間 と 初期投資額


(1)期間


 バックテストの期間は、2015年11月~2020年7月末 としました。
 もっと長い期間をやりたかったのですが、ポートフォリオの主要銘柄に「SPYD」を
 含んでおり、SPYDは2015年の11月に上場した銘柄のため、バックテスト用データの
 制限によって、この期間になりました。


 この期間の特徴ですが、代表的な出来事として下記の5つを含んでいます。
  ① 2015年終盤のチャイナショックの二番底
  ② 2017年を通してのトランプ政権の税制改革を好感した景気浮揚
  ③ 2018年末の米国市場暴落。主な暴落要因は、米中貿易摩擦によりカナダでHuawei
   の最高財務責任者が逮捕された件、トランプ政権とFRBの摩擦による市場の不安の
      増大等
  ④ 2019年秋の米中貿易戦争の一時休戦を好感した大幅上昇
  ⑤ 2020年のコロナショック


市場の混乱などを十二分に含んだテスト内容になっていると考えます。


また、バックテストの開始時期ですが、2015年の11月は、チャイナショックの一番底から回復し二番底が始まる直前の持ち直しピークの時期で、直後に一番底よりも深い二番底
に見舞われるので、甘くない条件でのスタートと言えると思います。


(2)初期投資額 ほか


バックテストにおいて、初期投資額は切りの良い$100,000(10万ドル)としました。
筆者が実際に10万ドルを投資しているという意味ではなく、運用後に何倍になったかを分かり易くするために切りの良い数字でシミュレーションしました。途中での追加投資は無しの条件にしました。


また、「配当は再投資する」条件としました。



5.比較対象のインデックスETF


 比較対象を、VTI、VOO,、VIG としました。
 相手にとって不足は無いと思います。



6.バックテストの トータルリターンの結果



 4年9か月後の運用結果の数字が、上図の Final Balance のところに出てきます。
 筆者のポートフォリオは、Current Portfolio という名です。
 運用の結果、5年弱でおおよそ1.6~1.7倍になることが期待できますね。(税引き前)
 (個別の運の良い当たりくじ株を別とすれば)、日本株のポートフォリオでは、とても
 これだけのリターンは期待できません。


 トータルリターンの観点では、この期間では、VOOが一番優秀です。
 しかし、VTI、VIG も、ほぼ遜色ありません。


 My Portfolioは、VOOと比較すると 95%の水準で、5%劣後しましたが、まあまあだと
 思います。


 グラフを拡大して載せます。




7.年次別リターン


 各年別のリターンは、下図の通りです。
 


 2018年は、年間でマイナスだったようです。しかし、VIGと (My) Current Portfolioは、
 下落率が微小であることがポイントです。



8.配当の状況


 各年の配当額は、下図の通りです。



 筆者のポートフォリオ(Current Portfolio)の配当は、VIGの 約3割増しです。
(再投資する場合は、6項のトータルリターンに反映されていますが・・。)


 私の場合は、配当狙いの銘柄選びもしているので、一定の狙いの結果を出している状況
 です。 配当をお小遣いや生活費の補充として受け取りたい場合は、有難いですね。



9.その他の評価


各種の評価指標を一覧で示します。



トータルリターンは、6項でも書きましたが、VOOがトップでした。ただ、VTI、VIGも
大きな差はなく、ほぼ横一線です。


ベータ(市場感応度)は、VIGと Current Portfolioが低いです。ダウ平均のアップダウン
に対して、その8割ほどしか影響を受けないということで、市場急上昇の際には、やや
出遅れますが、逆に急な下落の場合には、その8割の落ちで踏みとどまるということで、
VIGと Current Portfolioは、一定のディフェンシブ性を備えていると言えます。


安全性指標は、筆者はシャープ・レシオ と ソルティーノ・レシオ に注目しています。
シャープレシオというのは、リターン率(%)をリスク率である(リターンのブレの)標準
偏差で割った値ですが、数字が大きいほどブレが少ないことを示しています。
平均リターン率が同じなら、筆者はローリスクの方(ブレが小さい方)が、好ましいです。


シャープレシオと少し似ていますが、割り算の分母を、下振れ側のリスク率だけにして
割ったと言われるものが、ソルティーノ・レシオです。VIGが、良い数値(下振れリスク
が少ない)を示しています。Current Portfolioがそれを追う展開です。


筆者のポートフォリオ(Current Portfolio)は、VIGに近い性格を持っていると判断できそうです。



10. 所感


今回、バックテストをやってみて、筆者のPortfolioのキャラがVIGと似ていることに
非常に驚きました。
筆者のPortfolioは、その内部にVIG ETFを12%弱含んでいますが、その程度の比重では、
全体のキャラを左右するほどではないはずです。


筆者は個別株の銘柄選定として、
 ① 配当率が良いこと(概ね3.5%以上)、近年に大きな減配が無かったこと
 ② コロナショックの「下落率」が、市場インデックス並みか それ以内であること
 ③ 長期で見て株価チャートが、(たとえ緩やかでも)長期上昇基調にあること
  (つまり、長期低落でないこと。 乱高下の少ないチャートであること。)
 ④ 直近3~4年の売上・損益が、プラス傾向にあること
 ⑤ 財務体質に目立った不安が無いこと
を重視して選ぶようにして来ました。(時々、例外がないではなかったですが...。)
特に③④⑤は、ファンダメンタルズの要素です。


また、ETFの選択基準としては、市場全体を代表するVTI、高成長を代表するQQQと
VGT、大型株を代表するMGK、配当株を代表するSPYDとVIG を、バランスよく組み
入れ、また下落局面の安定化のため債券ETFを2割程度組み入れる、というものです。
”リスク分散”の考え方から、そのようにしています。


上記をブレンドした結果が、ETFであるVIGが選好する個別株の総和とキャラが被る部分
が多かったということかも知れません。(不思議なものです。)


先ほど書いたように、筆者は米国運用資産の中でVIGを約12%保有していますが、VIGは『連続増配株』を選んで構成されているETFです。連続増配 ≠ 高配当 ですが、いずれに
しても、業績が堅調で安定でなければ、連続して増配することはできないでしょう。
つまり連続増配銘柄というのは業績が着実に向上している銘柄であると考えられ、筆者が志向する長期投資にはうってつけであります。


筆者の運用ポートフォリオのキャラが、信頼するVIGに似て来たということに、ある意味
で密かな自信を覚えました。 この路線を続けたいと考えます。
あるいは個別株などを全て売って、VTI、QQQ、VIG、債券だけでポートフォリオを組む
方が、(個別株配当の楽しみを放棄しても良いと割り切るのであれば)、スッキリして手間もなく成長し、ディフェンシブかも知れません。


今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。