何のために資産運用しているのか?
こんにちは。
米国と世界の株式市場に強い逆風が吹いています。
コロナ・パンデミックからの経済の回復過程で発症した後遺症に相当する、サプライチェーンの目詰まりと労働力復帰不足 等々に起因するインフレと 金利の上昇が原因です。
(ロシアによるウクライナ侵攻が それに輪をかけて混乱に拍車をかけています。)
筆者の資産運用も大きく影響を受けています。
筆者の運用状況は、配当を含まないベースで まだ約20%の黒字を保っていますので、赤字転落しないで この嵐を乗り切ってくれるとは思っていますが、一部の観測では、この先まだ15%程度下落する可能性があるとのことで、そうなると、元本はプラスマイナス ギリギリというところです。(配当は、別枠で実質でプラスです。)
さて、このような逆風が吹くと、「なぜ運用など始めたのか?」という自問自答が湧いて来ます。
目的は、運用を開始した最初から明確なのですが、老後の生活資金確保のためです。
今日は老後の生活の収支について、改めて考察してみたいと考えます。
1.前提とする寿命
いきなりですが、自分は何歳まで生きる前提か?ということです。
2021年の初めの統計で、平均寿命は四捨五入で 男82歳、女88歳となっています。
つい先日、実質的に何歳まで生きるかという記事を目にしましたが、女性の場合で、
平均寿命は88歳としても、一番多く生涯を閉じる年齢は、最近の集計では92歳だそうです。
最頻値は、平均値よりも4~5歳 上のようです。
資金がギリギリ底を突いてしまうというのも不安なので、筆者は 配偶者も含めて95歳まで資金的に大丈夫に準備したい考えです。標準パターンで年金を受け取り始めてから、
30年の期間を想定しておきます。
そこまで生きて幸せかどうかは別次元の話ではありますが....。
2.収入の部
仕事を完全にリタイヤしてからの収入の算段の話です。
年金収入がメインになりますね。
あくまで平均的な例ですが、支給額から 社会保険料, 所得税, 住民税を引いた手取りは、
夫婦二人で 概算 20万円/月 が平均的な年金収入の手取り額でしょう(夫婦二人です)。
天引き後の「手取り」となると、結構減るものです。
上記は標準の場合である65歳受給開始の場合の例です。受給開始年齢により変動します。
ところで、年金受給開始年齢を繰り下げると月当たりの年金額が増える利点があります。
例えば70歳受給開始に繰り下げると毎月の年金額は約42%増えます。
しかしながら一方で、75歳以上になった時の住民税課税標準が夫婦のどちらかが28万円を
超えると、後期高齢者医療費の窓口負担(通常の世帯では1割)が、2割になる可能性が
高まるので、注意が必要です。(詳細は各位にてお調べください。)
※補足1:夫婦とも会社員の年数が長ければ、25万円を超えますし、どちらかが会社員
ではなかった場合には、二人合わせて18万円弱 ということもあり得ます。
※補足2:還暦を過ぎていれば、年金定期便で受給開始後の自分の年金額を知ることが
できるし、定期便が来ていなくても、最寄りの年金事務所か年金相談所に
行けば、窓口で5分くらいで調べて親切に教えて貰えます。
このように簡単に把握することが可能です。もちろん年金ネットでもOK。
もちろん繰り上げ・繰り下げした場合の年金額も正確に知ることができます。
3.支出の部
一例です。
【元気な時期】 (夫婦二人分の月額です。)
①家賃: (abc円か) 0円 (持ち家でローン完済ならゼロ円です)
②水道光熱費: 20000円 (一例です)
③車ガソリン: 0円 (車を手離さなかった場合は プラスで必要です。)
④固定資産税: 4000円 (以下、一例です)
⑤交通通信費TV: 30000円
⑥家財日用品: 12000円
⑦被服: 10000円
⑧保険医療 15000円
⑨教養娯楽交際 28000円
⑩食費 uvw円
(それぞれの人が自分で調べることができますね)
11その他 xyz円
(それぞれの人が自分で調べることができますね)
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合計 約 19万円±5万円? (仮に、その他 xyz を ゼロ円 としています。)
平穏な時期の1年間のトータルな生活費を12で割った平均的な月額の生活費は、
具体的な数字で把握しておく必要はありますね。
4.ここまでのまとめ
元気であれば、贅沢をしなければ、ぎりぎり やりくり可能とは思えます。
しかしながら、大学卒初任給の単身者並みの収入で二人の生活となりますので、
あまり余裕があるとは言えなさそうです。
5.介護が必要になって以降の追加支出。
5A:自宅で 介護の人に来てもらって介護を受ける場合
5A-1:夫婦どちらか片方が要介護の場合 : 約49000円/月
5A-2:夫婦 二人とも要介護となった場合: 約98000円/月
生活費の減少分(教養娯楽交際費不要) : ▲約38000円/月
※注:上記は単なる一例で、要介護3で 仮に自己負担が「2割」の場合です。
もちろん介護保険を使いますが、介護費の「本人負担分」がありますので。
※注:識者に聞くと、だいたいの人は、”介護保険が使える月額限度額” いっぱいまで
介護サービスを受ける場合が多いそうです。
また、少数の人は 介護保険の限度額を超えて介護サービスを受ける場合もあり、
その場合の超過分は全額自己負担で その金額は上記に加える必要ありますが、
90数%の高齢者は全額自己負担の外部介護サービスは使っていないようです。
それよりも、夫婦二人とも要介護状態となった場合ですが、その場合には 二人とも自宅で
介護を受けるという想定は、難しいかも知れません。
一方で、片方が要介護状態となり 他方が身体が動いても、老々介護の難しい事態はしばしば耳にするところです。
5B:介護施設に入る場合
介護施設に入る場合は、一人ではなく、夫婦ともに入居を想定したいと考えます。
老々介護はなかなか厳しいと聴きますから。
介護施設は千差万別で、「選ぶこと自体」が 一朝一夕には行きません。
納得した場所を選ぶには、きめ細かい調査と決断が要ります。
介護施設の費用って、入る寸前まで実際知らない場合が多いのではないでしょうか?
いざ申し込もうとしたら、目論見が外れたということも、ままありそうです。
しかも認知症になっていると入居できない施設もあります。
なので、いずれ可能性がある場合は、具体的な施設名を 今決める必要は全くないです
が、元気なうちに調査して一定の知見や、いくつかの許容「候補」リストと費用感を
持っておくことは大きな意味があると考えます。
費用は千差万別で、望む生活内容と 予算事情で 大きく異なって来ると思いますが、
入居一時金分を月額費用に換算して、さしあたって 一旦 仮定として置くことのできる
とりあえずの想定費用は、
40万円/月 (2人入居、食費と住居費を含む) といったところでしょうか。
※注:入居一時金を 月額費用に割り振って足したと仮定してあります。
施設によっては、もう少し一時金が要るかも知れません。
ここで忘れてはならないのは、(まだ身体が動くうちに入る場合も含め、)
①スマホ通信代
②外食&おやつ代 (元気な場合は必要な場合もあるでしょう)
③自己負担分の介護費用
④医療薬品費/入院費(同じく自己負担分がありますね)
です。
上記①~④の費用は、大雑把に、
① 10000円/月(2人)
② 20000円/月?(2人)
③ (5A-1, 5A-2 と同じです。)
④ 入院すると、手術等には国民健康保険の「高額医療費補填制度」を使っても、
1か月あたり 一人 約10万円 × 入院月数 の用意が要ります。
(転んで大腿骨骨折などで歩行困難になった場合は、何か月かの長期入院に
なる場合も。私の父が そうでした。)
結局、介護施設に入ると、夫婦二人で 月40万円+介護サービス費用の自己負担分
+ (必要の際) 医療薬品費&入院費 になります。
自宅で元気で住んでいた時の費用項目からは、支出不要の項目も出て来ますが、
身体が動かなくなった高齢者の必要費用は、様々出て来ます。
(多大な外部人件費と医療費を使いますから。)
6 収入との対比・検証
収入は相変わらず、年金の 月20万円です。
場合によって、2人分の介護施設費用 (約40万円/月) に加え、上記のように、
2人分の介護費の自己負担分、医療・薬代の自己負担分、入院費の備えの可能性を
一定程度織り込む必要があるかも知れません。
その結果、月々の年金の20万円では、平均的に不足することがあり得ます。
例えば、年金以外に株式の配当収入等が、手取りで月10万円位あれば助かりますが、
まだ不足する場合について、自分なりの対処法を整理することが必要かも知れません。
となれば、預貯金等の金融資産の取り崩しです。
夫婦のどちらかが要介護になってから天寿までの「年数」を考慮に入れて月額×年数の
掛け算計算が要ります。
誰もがそれぞれ、元気な今から 夫婦2人分の天寿までの予想費用を、数字でシミュレー
ションしておくことは十分できるし、自分の将来への見積り・心の準備をしておいて
損はありません。
将来どうなるか、ピタリと言い当てることは もちろん難しいですが、考えるベスト
ケースとワーストケースの2通りについて、それぞれ想定して仮の天寿までの年数分の
費用シミュレーションしておくと、その幅のどこかに着地するというイメージを数字で
持っておくことができますね。それによって今後の暮らし方の準備につながります。
また、取り崩せる蓄えを、少しでも厚くしておきたいです。
筆者の場合は、運用総額が十分でないので 配当では足りず、また自立して遠隔地で
生活する子の家計に負担を与えたくないという気持ちもあり、できるだけ自分で用意
し、生涯運用しながら4%ルールで少しずつ取り崩して 充てて行く考えです。
(子の家計に負担をかけないのであれば、自分の金融資産は自分達夫婦の寿命が尽きる
際に 概ね使ってしまっていても良いと考えています。)
7 まとめ
生き方は人それぞれですので、一律にまとめることは難しいです。
自分の望む方向と現実の間にギャップが存在するかどうか、元気なときに具体的な
実際の数字を想定してシミュレーションし、「予想外」を可能な範囲で埋めておきたい
ものです。
その上で自分の晩年の生き方のシナリオを考えておきたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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