森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

まだまだ下げ止まらない米国市場


 こんにちは。


 米国市場は、更に高進するインフレに加えて、ウクライナ危機が かぶさって来て、まだまだ不穏な動きが続いており、底打ちが見えない状況となっています。
 筆者の評価額にも多大な影響を与えています。
 ネットやソーシャルメディアでは、グロース下落だ、バリューブームだ、トレンド変化だと、かまびすしくなっています。 かく言う筆者もバリュー比率を少し上げました。


 この状況下で、市場の動きや 各種の情報源を冷静に観察して勉強になり、いくつか改めて感じたことがありました。



 その前に、「グロース」とは何か?、「バリュー」とは何か?
「成長株」・「割安株」と日本語で言い換えることはできても、それ以上の説明や二つの境目を明確に言える方々は何人いらっしゃるでしょうか? 筆者も同じです。認識が漠然としているところがあります。
 バリューの中にもグロース寄りのバリューあり、グロースの中にも需給変化を受けにくい底堅くて堅実成長の銘柄もあり、レッテル分け自体が意味がないバランスの取れた銘柄たちもあるでしょう。言うまでもないことですが、真っ白と真っ黒の画一的な2色構造ではありませんね。


 バリューとグロースの定義は、私のような素人が俄か解説するのは適切でないので、ここではあえて省略致します。例えばVanguard社にはVanguard社の定義があるとのことです。


 ただし、別のデータで定量的な理解を少し深めておきたいと思います。その方が有益だと感じました。


 先日のブログで、”米国の代表的なインデックスはグロースの含有率が高いので、金利上昇局面では かなりの影響を受けている” という趣旨のことを書かせていただきました。
 「インデックス」というセクターが 独立に存在しているワケではないですからね。



【代表的インデックス銘柄の グロース・バリュー占有比率】


                                    バリュー    グロース  その他(他国や債券)
DIA ETF                         68%                    29%                    3%             
VTI ETF                           40%                   58%                    2%
S&P500 ETF                     46%                    54%                   0%
NASDAQ100 ETF                0%                   100%                  0%



 主要なインデックス系ETFの 内容の内訳は、上記の通りです。
今回は、Portfolio Visualizer のデータベースから引用しました。


 VTI も VOO も、過半がグロースなんですね。我々が優れた運用収益を期待して投資しているアメリカの経済の成長は、好きと嫌いに関わらず、現実としてグロース企業が牽引しているお陰かと改めて感じます。米国でグロースを切ってしまうと、株価が何十年と上がらないどこかの国のインデックスを買うのと同じになります。為替リスクを取って米株を買う意味は殆どなくなります。米国高配当ETFも、実は株価がしっかり上がっているから配当を帳消しにしないで済んでおり、更には再投資で複利効果が得られます。対して日本の高配当ETFは長年に渡り価額が上がったり下がったりのため、分配金を食って元本を減らす可能性があり、安心して保有することは難しい状況です。




【今回の下落で改めて再認識したこと】


1. 短期的な下落は、「需給変動」で起きている。


 金利上昇などの局面での下落は、短期の株価変化で利益を出す戦略の「ショート勢」が先鞭を付けて売り始め、機関投資家が満を持して大規模に売りをかけて流れが固まるようです。
 更に、数日ないし1週間程度遅れて個人投資家の3分の1程度が 狼狽して追いかけ、ダメ押しの下げとなっているようです。


 機関投資家は、いずれ時期を観て大規模な買いに出動して来るはずですが、それが「いつ」であるか、素人にはわかりません。個人の素人投資家はプロのマネをする必要はなく、インデックスや それに近いETFを売らずにしっかり持ち続け、転換局面でも慌てず騒がず、継続して定期積立をするのみです。 もちろん、弱い株はこの機会に整理した方が良いかも知れません。



2.最後は『インデックス投資』が笑う。


 結局は、中長期では、株価は GDPと 国の主要企業のファンダメンタルズに帰着するので、インデックス投資が最後に笑います。(非常に上手な人は個別株で笑うと思います。)


 リーマンショックのような超大型長期ショックを例に取った場合でも、
① 平時は順張りで下落時には冬眠していた方々においては 下落開始から5年半程度
② 下落の間も 積み立てや底値での買い増し をしていた方々では、下落開始から4年弱
を過ぎると、インデックス投資では、下落直前時の収益を回復して来るというデータになっているようです。その後は回復とともに収益が更に伸びて行きます。
 人によって定期積立金額などが異なると思いますので、ご自分で計算やシミュレーションをしてみられると良いかと思います。


 ちなみに、リーマンショック級の大型ショックでは、バリューセクターであってもグロースセクター並みに下落し、また回復にはグロースセクターよりも1年弱長く回復期間がかかっていることは前もって意識しておきたいです。今回のような利上げ警戒の場合は、バリューは比較的に底堅いですね。
 大事なことは、『偏ることではなく 量的配分バランス』なんですね。リバランスの意義を少しわかったのも、今回の収穫でした。S&P500インデックスは、グロースがやや厚めなので、リターンには少し目をつむっても下落を緩和したい場合は、バリューを外側で少し足すのはありだと思います。


 今回の「高インフレ・利上げ警戒調整」は、リーマンショックほどは長引かないと考えています。



3.米国投資は、引き続きインデックスをコアとして組む


 米国投資において、『インデックス投資』は 一定期間の国の経済成長をそのまま切り取ることができるというコンセプトです。
 しかも、代表的なVTI や VOO は分配金も出て、加えて「増配速度」が速いので、インデックスに再投資を組み合わせると 中長期では ” 高配当株 配当再投資 ” を大きく超えるリターンが得られることが証明されています。何よりも、個別株の減配や個別経営リスクを背負う必要がないことが、中長期投資で安心感が得られます。そして、最後は『インデックス投資』 (VTI, VOO や 準じるETF ) が笑う、ということが歴史的に繰り返されています。
 仮に万が一インデックスが10年以上低迷するようなことがあるとすれば、その時には、多くの個別株や 業績不振要因の高配当株は深刻な株価下落は避けられず、場合によっては破綻もあり得ます。なぜならばそれらはインデックスの構成要素だから。


 さて筆者は、1月の下旬に一部のグロースセクターの分散銘柄を 狼狽して売ってしまいました。日米合わせた総投資額の2%程度ですのでさほどの影響はありませんが、慌てて売ることは無かったと思いました。ただ、その資金をバリュー比率を多少上げることに充当できたので、悪いことばかりではなかったと考えています。何事も常に学習し、凝り固まらないことが重要だと思いました。
 勉強になりました。



 いずれ風向きは、否が応でも 次の循環へと変わります。成長力とボラティリティの両方が同時に断トツの銘柄はありません。キャラクターがバラバラな 様々な個別銘柄群の平均をしっかり押さえて長期リスクを下げ、経済成長を最も確実に掬い取るのがインデックス投資です。


 落ち着いて、騒がず また 浮かれずに対応して行きたいものです。


ではまた。