森のそよ風のブログ

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米国運用銘柄のパフォーマンス <ETF編>

こんにちは。


11月3日に、「 米国運用銘柄のパフォーマンス<個別株編> 」をアップしましたが、
今日は<ETF編>を書いてみたいと考えます。



1.保有ETFの 各銘柄占有率


早速ですが、下記が保有する各ETFの占有率(評価額基準)です。
従来通り、実額は省略させていただきます。


注(1): 債券ETFは除外しています。
注(2): 以下、USドルベースです。(月次レポートの円ベースではありません)



図1 〘ETFアセットの占有率〙


VIGが最も大きく全体の4分の1を占め、以下、VOO、QQQ、XLP、MGK、XLV・・・という順番になっています。



2.保有するETFの年初来騰落率


次に、保有する各ETFの年初来(2020年最終日~2021/11/2) の騰落率を下表に示します。
これは各ETFの市場での騰落データです。(Myポートフォリオの収益率ではありません。)



表1 〘各ETFの年初来騰落率〙(市場データ)



比較のため、インデックスETFであるVOO(S&P500)を、各表に併記してあります。


ざっと目分量で計算すると、上表ETFの上昇率の平均は おおよそ20%くらいでしょうか?
VOO (S&P500指数相当) は 24.3%と、上記全体の概算平均より少し高い成果を出しています。


以上のデータだけでは、個別株投資とどちらが優位か、まだ一概には言えませんね。


ただし、筆者が保有する個別株の年初来騰落率(下の 表2に再掲)は、非常に大きくバラけているのに対し、ETFは 2021年に関しては、どれを買ってもバラツキは さほど大きくなく 20%+α の含み益を得ることができています。
これは、ETFのリスク分散効果が高く、結果として安全性が高いことを物語っています。


ここからは補足です。

セクターETFは、今年はコロナ禍からの消費復活や産業復活を反映して、XLYが好調を示しています。

セクターETFをうまく活用すれば景気循環に沿った投資が可能と思われます。

なお、セクターを常時保有する場合は、比較的浮き沈みが少なくリターンが着実な VGT、XLP、XLV、XLYの4セクターで必要十分な気がします。


また、足元ではグロース株の再度の好調が言われていますが、近年高い成長を示すQQQやVGTの上昇率は、2021年のこれまでの通算について言えば VOOと大きくは変わらないことも注目に値します。



表2  〘 再掲:個別株の年初来騰落率〙



日本市場のパフォーマンスと比較してみましょう。

同じ年初来の期間で、日経平均は7.5%の上昇、TOPIXは12.6%の上昇でした。
こうして数字で 実際に比較してみると、米国のETFの堅調性は非常に説得力があります。



3.筆者ポートフォリオにおける ETFの含み益率


次に、筆者保有の 各ETF銘柄の 保有開始以来の含み益率を 表3に 示します。
運用期間は、概ね2020年3月上旬から2021年11月2日です。
(先ほどの2021年 年初来騰落率とは期間が異なります。)


「グロース」、「バリュー」、「セクター」の 3つに分類してみました。


銘柄 一つひとつの含み益率の 細かい差については、気にしないでください。
なぜなら、銘柄毎に 初買いの時期も、途中での買い増しの量もマチマチですので、上記期間におけるその銘柄の本来の実力に対して3~4%程度の誤差は生じていると思います。そのあたりを補正すれば、順序の若干の入れ替わりはあると思います。
一方で、含み益差が 5~6%ないしは それ以上の差があるものについては、明らかに銘柄毎の (直近の 約1年 7か月における) 実績の順序を おおまかに反映していると考えます。


そういった見方で捉える必要があるデータだと考えています。



 表3〘保有ETFの 含み益率〙


こうやって見ると、やはりグロース/テクノロジー関連のETFのパフォーマンスが強かった状況です。
(注:セクターETFの XLUは、一旦全売却して 再参入後の含み益のため、まだ小さい。)


テクノロジー株は 下げ局面での下落率が大きいと言われていますが、ごく短期を除いた半年以上のネット (=上昇率ー下落率) の 実質的な騰落で言えば、他のセクターETFよりも勝っているようです。
ハイテクは、1999年~2003年頃の黎明期は暴落しましたが、それから20年経って産業の主軸を担うようになり、個別のハイテク銘柄の値動きは別ですが、"束(たば)" になっていると、景気や金融政策で大きく振られる資源・原油株 や 金融セクターなどよりも、むしろ安定感が高まっている状況です。(NASDAQインデックスや 情報技術ETFの視点です。)
現実にコロナショックでも、S&P500よりも下落率が数%小さく、その後の回復も速かった経緯があります。
(ただし、同じハイテクでも個別株は別です。個別銘柄毎に安定感が全く異なるので、保有する場合には 引き続き継続的な注意管理が必要です。 そのことはハイテク以外の個別株も全く同様です。)



4.個別株とETFのリターンの比較


次に、個別株とETFのリターンを比較してみます。



表4 〘マイポートフォリオの 個別株とETFの比較〙
  (数字の大きい順には並んでいませんので注意願います)


(順不同)           (順不同)


上表の最下欄の「緑色のカラム」を見ると、以前から 既知であったとは言え、総合パフォーマンスでETF群は個別株群に勝っています。個々の銘柄の買った時期はマチマチですが、筆者は 個別株とETFを、ほぼ同期して交互に順次買って来た経緯があります。
しかも、個別株は損切りや 見切り売却が十数銘柄あって一時は管理に苦労しましたが、ETFで解約したのは SPYDと 特殊な2~3のETFで、その他のETFは 時折り買い増しこそすれ、事実上の放置状態でも地道に利益が増えました。


上表の含み益率は、個別株も ETFも 配当金は含んでいません。 しかしながら、対象期間の配当金を足しこんで補正してもETFの優位は全く変わらず、約1年半の期間で ETF群は個別株群に対して 7%程度収益率が勝っている状況です。
補足ですが、ETFも配当金は出て配当再投資運用はしっかり可能であり、しかも 着実な増配率で安定的に増配するので、その複利効果による投資効率は高いことがわかっています。


ちなみに 主要なETFの過去10年の「年平均増配率」は、下記の通りです。
比較のために高配当で有名なAT&Tと、グロース銘柄の模範生のマイクロソフトの 年平均増配率も併記します。


【過去10年の年平均増配率】
 ・VOO     9.4%
 ・VTI       9.2%
 ・VIG      8.4%
 ・VYM   10.5%
 ・T          2.1%
 ・MSFT  10.2%(過去5年の年平均)


高配当で鳴らしている"T"の年平均増配率は、意外に非常に低いです。目立った増配が可能な増益を果たせていない状態が何年も続いているためでしょう。
個別の高配当ヨコヨコ株と 堅調ETFの間に大きな資産形成力の差が存在していることを知った時、筆者は高配当の株価ヨコヨコ株を、BCEを除いて全て解約しました。


なお、堅調なETFの毎年の増配「」は、毎年の株価成長「」に概ね近い数字となっています。 つまり、"率"同志で比べると、近い数字です。株価は1株利益 × PERですので、有配当株においては、配当金と株価上昇が、ある程度比例するのは理にかなっています。
米国企業は株主還元意識が高いので、業績が堅調な限りにおいては、株価上昇率と同程度の「増配率」を実現しようとします。何故なら、株価が上がったときに配当利回りが下がって見えることを好まないためです。堅調ETFは堅調企業の集合体なので、配当についても同じ傾向が反映されます。


このように、「堅調なETFは、実は優れた連続増配銘柄である」と、筆者もごく最近知って驚きました。 全く「灯台もと暗し」でした。
また、堅調ETFへの (配当 または 追加) 再投資は、以前にも書きましたが相当に最強です。  
加えてETFは、個別株に付いて回る経営不振による株価下落の不安が無く、地合いを越えた下落リスクもありません


米国の堅調なETFは、インカム、キャピタル、安全性において多面的に死角が少なく、この上なく優れた投資対象と言えます。(日本市場では先ず望めない投資対象です。)



5.まとめ


まだ個別株に魅力を感じている筆者ではありますが、こうやって全体の姿を眺めてみると、わざわざ常に下落リスクに悩まされる個別株をあえて持たずとも、数種類の堅調なETF(多数の優秀な個別銘柄のパッケージ)に集約するのが、結局のところ最も賢明な策と言えそうです。管理スキルが落ちて来ている筆者のようなシニア投資家の教訓としては、尚更です。
なお市場ETFでなくとも、同等の内容の投資信託でも 同じ成果を見込めます。


筆者の場合ですが、保有銘柄数を減らして、表4の中から 安定して長期できっちり伸びている 上位の数銘柄程度のETFに集約しても、①分散ディフェンシブ効果、②資産形成パフォーマンス、③『グロース/バリュー/景気敏感 の 季節循環』への平準化対応 といった重要要件を、ほぼベストに保てると推定されます。(上記のデータから。)


3,4年後には、リタイヤ後に扱いやすい投資信託の比重を更に上げる考えですが、そのリバランス時期に対応して米国市場での直接運用銘柄も、今回のデータを参考にして 個別株投資を大幅縮小し、絞り込んだETFに集約する予定です。


冗談半分、真面目半分に言えば、VIGとVOOとQQQを3分の1ずつ持って、あとは「気絶して寝ている」という状態が理想だなぁ。(笑)

MGKとVYMを加えた5種もいいかな〜。



本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。