森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

2021年 年初来の 米国好成績銘柄


こんにちは。


8月末 あるいは 9月第1週まで、史上最高値を更新するなど好調だった米国市場が、ここのところ2週間ほどの間、比較的長い調整が続いています。
堅調上昇から調整への変曲点は、9月3日あるいは9月7日頃かと思われます。


米国は、ワクチン接種率の上昇が足踏みする中で、新型コロナの感染再拡大により米国経済の正常化が遅れるとの懸念は依然として根強く、また、S&P500などの市場指数のバリュエーションがやや高くなり過ぎたとの警戒も出ているようです。物価上昇速度がやや和らいだとは言え、依然CPI等の指標は高値圏が続いており、12月からと見られるテーパリングが強めに実行されるのではないかとの見方も重しになっている可能性があります。


さて筆者は、米国への投資にあたっては、市場インデックスに同期して堅調に上昇し、かつ 下げ局面では、その「下げ幅」が限定的な (つまり、株主の握力が強い) 銘柄を集めてポートフォリオを構成することを目指しているため、こういった軟調な局面こそ、保有銘柄のパフォーマンスをレビューしておくことには意味があると考えております。



筆者は米国投資では、債券ETFを除いて およそ30銘柄に分散投資をしておりますが、
保有銘柄の中で、直近2週間の調整局面においても、プラス (上昇:逆行高) か、市場インデックスと比べても「下げ幅」が小さくとどまり、かつ、その中で、2021年の年初来からの上昇率が高い 『ベスト10銘柄』を抽出してみました。


その マイ・ベスト10銘柄の整理結果が、下記の表です。



整理の手順ですが、下記の通りです。
保有する全銘柄について、A:S&P500とナスダックの調整が始まった9/3から9/17の騰落率を計算しました。
また、それに続いて、B:ダウ平均が頭打ちとなって下落の兆候が出始めた8/15から9/17(先週の金曜日)までの騰落を、同様に計算をしました。  
並行して、C:全銘柄の年初来の騰落の計算を実施しました。
これらの3指数を総合的に眺めて、保有する29銘柄中で、成績の良い銘柄のベスト10を取り出したものが上表です。  表中の数字で、100%以上は 株価上昇、100%未満は 株価下落ということです。
AかBで インデックスより 少し大きめに下落した銘柄でも、他の2期間の指標が かなり良ければ、ランクインさせています。
(ただし、成績の良い順には並んでいません。)


ちなみに、表内のマイベスト10銘柄中の5銘柄が、A,B,Cのいずれも100%以上の三冠王でした。( ← 余談です。話が逸れました。)


本表にランクインした銘柄は、実際に業績が上向いている銘柄であるか、もしくは、筆者を含む現行株主の握力が強く「売られにくい=下落しにくい」 安定感のある 銘柄とみなすことができ、長期保有への好適性が高いと考えて、買い増しの際には優先的に買い増し対象として考慮してゆく考えです。



さて、これら10銘柄に対して配当再投資を10年続けたら、どのような資産形成が得られるか、Portfolio Visualizer の Backtest機能を用いてシミュレーションしてみました。
直近だけ良くても、長期では さほど収益の上がらない銘柄もありますから要検証です。
シミュレーションのスタートは2011年8月とし、運用終了は2021年8月(先月末)です。


バックテストで用いるデータは過去10年のデータ(実績データ)でありますが、景気好調局面は言うに及ばず、様々な経済ショックも経験したデータなので、将来も同じ結果になると保証することはできないとしても、銘柄企業がその実力を維持する努力を継続し、今後とも市場で色々なことが起こると想定すれば、このシミュレーションで得られた結果には現実に即した 一定の信憑性があると考えています。


なお、ベンチマークとして、代表的な市場インデックスETFである VOO とVTIもシミュレーションに加えます。また連続増配のETFとして人気の高いVIGと、従来より人気が高かった代表的高配当の個別銘柄であるAT&Tも同時に比較してみます。


下記の表が、10年運用バックテストで得られた評価額の結果「一覧」です。



バックテスト成績一覧
(10年後の評価額が高い順に並んでいます。)


LOWから上が、10年間の配当再投資運用の結果、テンバガーですね。
そして、冒頭の表で抽出した10銘柄のうち9銘柄は、バックテストでも 米国代表的インデックスのVOOやVTI を上回る良好な結果となりました。(テスト前に期待していた想定どおりです。)
なお、ETF設定後5年の運用実績しかない "MILN" は、5年シミュレーションしかできなかったので やや低い値となっていますが、やむを得ません。ただ今後には期待できると考えます。10年では$6000近くに行きそうですね。


補足ですが、ソルティノ・レシオは、数値が大きい方が安定感があり下落リスクが低く、投資効率が高いことを示しています。
また、標準偏差は一般的には小さいほど望ましいですが、成長性の高い個別銘柄の標準偏差については、ある程度大きくなるのはやむを得ません。なぜならば株価上昇自体が標準偏差を多少押し上げるのと、それに加えて個別株特有のボラティリティーが出るので、どうしても20%を少し上回るでしょう。逆に個別株で標準偏差が 15% とか 16% 前後の銘柄は、長期で株価がほとんど上がっていない中で、ある程度の上下バタツキがあった状況と理解できます。
代表的なインデックスETFなど 分散の良く効いた堅調なETFや投資信託は、標準偏差が12%~16%くらいの範囲が多いと思います。



さて、上表の銘柄の中で、特筆すべきは ”MSFT”(マイクロソフト)です。
一定のボラティリティーが付いて回る個別株でありながら標準偏差(ブレ)が 長期でも20%という非常に良好な値に抑えこめており、ソルティノレシオも  10年で 2.8 という驚異的な安定感・高い投資効率を実現しています。
冒頭の表にも示しましたが、2週間から一か月の、ダウ、ナスダック、S&P500 などの下落継続の局面で、騰落が - 0.6% ~ +1.8% を保っていることは、驚異的と言う他ありません。期間中に自社株買い・増配などの好材料が出たこともありますが、そもそもそういった好材料をこの環境で出せるのは、社業が継続して抜きんでて好調であるからに他なりません。更に、直近株価ベースの配当利回りは決して高いとは言えませんが、16年連続の増配銘柄であると言う点も強味であり、長期の保有で資産形成に加速度を与える幾つもの好条件を兼ね備えています。
マイクロソフト株の単価は高いですが、今後、世界中の新興国にて更なる産業発展や人口増でMSFTの製品が使われて売上が伸びる可能性は非常に高いので、押し目を見つけて買い増したいと考えます。個別株でありながら、資産形成に大きく寄与してリスクが比較的小さいマイクロソフト株は希少な存在です。


もう一つ 重要な再発見は、ベンチマークとして同時シミュレーションした市場インデックスETFと連続増配ETFの底力です。
これら3種のETFは、高配当利回りで著名な個別株のAT&Tに対して、収益分 ($1000からの増分) で比べると、長期で実に数倍の大きな収益を達成しています。
インデックス投資が、リスクが低く、最も確実と言われるゆえんです。ポートフォリオの中で、インデックス銘柄に大きな占有率を充てることが、安全性・堅実性の点から大変重要と思慮します。



今日のまとめです。
上表で、『10年の 配当再投資 で評価額が3.5倍以上に伸びる銘柄』は、お宝株として長期の保有を前提に(筆者の場合は、max あと7,8 年 くらいでしょうか)、余力があれば要所要所で追加投資してゆく考えです。
もちろん、個別株には常にリスクがあるので、定期的なレビューは不可欠と思います。
永久保有に値すると考えて買っても、選球眼が足りず 買って暫くして外したとわかる場合もありますし、想定外の事象が起きて 損を出して手離すことも決して珍しくありません。
また、一度持ってしまうと心理的になかなか売れない「自分自身が原因となるリスク」も起き得ます。
定期的なレビューが おろそかになり始めたら、個別株は卒業して優良ETFと投信に集約する考えです。


これからもリスクを下げつつ、確実性の高い、力強い資産形成が進む銘柄を厳選して行きたい考えです。



本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。