森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

米国連続増配銘柄の投資信託 が 地味に堅調


こんにちは。


欧米の先進国でのワクチン接種率は 国民の 6, 7割を前に足踏み状態、日本ではまだ接種率が4割弱と出遅れている中で、デルタ型ウイルスが勢いを増し、経済活動本格回復の時期を占うことが難しい状況が続いています。
ワクチン接種率に比例するかのように、米国市場は比較的楽観的な値動き、日本市場は上値の重い、軟調な展開となっています。


そういった中で、米国の「連続増配銘柄」に投資する投資信託が堅調な動きを見せてくれていますので、関連するデータの整理を兼ねて 今日は簡単にご紹介します。



筆者は、毎年連続して配当額を増やしている「連続増配企業」を、経営堅調銘柄として高く評価しており、それらに投資する投資信託を2,3保有しております。
それは、


・VIG ETF (Vanguard社)
・米国株式配当貴族 (野村AM)
・米国連続増配成長株オープン (岡三AM)
です。


VIGは、NYSEに上場する上場投資信託(ETF)です。
他の二つは、通常の円建ての追加型投資信託です。



それでは、まず3銘柄の直近1年チャートを見てみましょう。



(1)VIG ETF


時々 押し目のへこみを見せていますが、マクロ感はすこぶる順調です。
今年の2月以降も、日本株に比べると力強いですね。



(2)米国株式配当貴族 (野村AM)


配当貴族も順調です。
筆者は、上図で示したFunds-i 投信の 姉妹投信である「米国株式配当貴族(年4回決算型)」を保有していますが、値動きは ほぼ同等です。
5月10日頃から8月の初旬は 少し足踏みのヨコヨコでしたが、8月中旬に再び上昇に転じて来ています。5月10日頃から8月の初旬に何があったのか調べてみたら、ナスダックが押し目の底から次のピークに向かって14%以上 ぐんぐん上昇した期間に一致しました、筆者の印象ですが、ナスダック銘柄が市場で積極的に買われている時期には「配当貴族銘柄」は、買われない。しかしグッドニュースとして、グロース株を買うための原資として配当貴族株が売られることはなかった、と言えます。一度買われると、握力強く保持される傾向があると推定します。次のフェーズとして、ナスダック上昇が一段落すると、今度は配当貴族株が上がったように見受けます。こうしたことから、配当貴族を QQQ や ハイテク株と組み合わせて持つと、お互いに食い合うことはあまり無く、むしろ補完的に作用してポートフォリオとしては切れ目がなくなり、面白いと考えられます。(筆者はQQQも一定割合を保有しています。)



(3)米国連続増配成長株オープン


この投信 (岡三AM) を、筆者は最近になって積み立て始めました。配当貴族投信と併用しています。
前記の2銘柄と比較して、カーブが非常にスムーズに上がっているのが特徴です。(後に述べる標準偏差の値にも、それが表れています。組入銘柄が、保有投資家のグリップが強いのでしょう。こういった、短期売買の対象になりにくい銘柄を私は好みます。後述します。)
従って、いつ買っても(翌日には上がっているので)「高値掴み」をしたという感じがなく、決断しさえすれば 常に未来から見て安値で買えたという印象で、買い時に悩む必要が殆どありません。
「安く買いたいから、たまには下げてくれ!」という意見も聞こえて来そうですが・・。



★ 以上、連続増配投信の3銘柄のチャートを見て来ましたが、個別株のように原因不明で上下に激しくバタついたり、四半期決算発表を受けて大きく下落したり、経済ショックの後の 回復がインデックスよりも長期化して長期の含み損に沈んだりすることが殆ど無いです。
放置状態でも安心して保有できるのが、連続増配銘柄投信の大きな魅力であると考えています。
投信銘柄によって 配当や分配金の出るものは、「配当再投資」戦略での運用にも適していると考えられます。



(4)パフォーマンスの数値的確認


最後に、各銘柄のリターンとリスクを 数値で確認しておきましょう。



どの銘柄も、直近の1年は40%前後のトータルリターンを出し、過去5年の年平均でも15%前後のリターンの実績を残しており、グロース株には及びませんが、下落のしにくさという安心感を加味すれば、優秀です。年平均で これだけ上がれば、繰り返し再投資戦略にも しっかり応える十分な収益を上げることが可能で、長期資産形成の頼もしい力になります。
また標準偏差は、安定感の目安とされる「15%以内」に 概ね収まっており、これまた優秀です。
ちなみに円建ての二つの投信は、繰り上げ償還の可能性が低いとされる純資産100億円を超えて安心圏に入っており、更に日々新規の資金が流入しているようですので、「連続増配株」の安定性が 徐々に投資家に評価されて来た兆候かなと考えています。


なお蛇足ですが、「5年リターンの年率平均=15%」というのは、算術平均ではなく幾何平均であり、毎年15%を複利方式で上乗せして行くということです。
つまり、例えば100万円を入金して満5年後の残高の計算式は、
5年後の残高=100万円 × {(1+0.15)の5乗} 
      = 100万円 × 2.0114
      = 201万1400円
です。


100万円× (1+ 0.15×5) = 100万円 × 1.75 = 175 万円
ではありません。


年平均リターン率は、毎年の株価の上昇率 と同じく、毎年複利的に ”べき乗” で効果が出てきます。
こういった銘柄を保有して 繰り返して追加投資(たとえば 配当再投資)すると、複利効果が出現して、数年・十年・十数年と経つにつれ、評価残高が加速度的に成長します。
逆に株価 (または基準価額) の上がらない銘柄を長期に保有して配当再投資または追加投資しても、複利効果が表れることはありません。例えば、5%配当はあるものの株価の上がらない銘柄を100万円で買って5年間保有した場合、
100万円+ 5万円×5年= 125万円
です。配当の5万円を 配当が出る度に再投資を継続しても 複利効果が無いので、実際に計算してみるとわかりますが、実際のところ出来上がりは125万円から大きくは変わりません。前述の基準価額上昇15%の複利効果で得た201万円と比較すると、大差で負けです。
なお、たとえ配当率の5%が7%であったとしても、株価が上がらない限り単利の効果しかないことについては同じであり、出来上がり金額も大きな伸びはありません。



他方で、株価は毎年必ず上がり続けるとは限りません。そのために地域や産業セクターを分散したり、色々と下げ幅を少なくするための工夫をします。
筆者がこれまでに得た経験から思うに、下落幅を抑えつつ、最も堅実に収益が上がる投資対象選定法は、インデックスの上昇率に多少及ばなくても、概ねそれに近い上昇率を示し (← つまり企業として成長しているということです)、かつ、経済ショックで 比較的「売られにくい」(自分以外のその銘柄の保有投資家が 手離したいという衝動に駆られにくい) 銘柄を持つことではないかな、という気がしています。自分はがっつりと保有しても、自分以外の多くの株主に売られてしまうと、株価は下がったまま浮かび上がりませんから...。


そういった 多くの保有投資家の強い「握力」で保有される可能性の高い銘柄のタイプの一つが、「連続増配株」ではないでしょうか?
それなりに 株価が堅実に上がって、時価の株価比での配当率は高いとは言えないまでも、配当を毎年増やしてくれるのは経営内容が堅調で業績が安定して伸びているということ。そういった銘柄は、皆さん お嫌いでしょうか? すぐに手離したくなりますか?  そういった銘柄なら、少々の市場ショックに見舞われても 早めに回復すると信じることができるので、(一過性のグロース株ならピークを過ぎた下げ局面で素早く利確売りしたくなるし、皆から叩き売られそうな低位株なら 自分も衝動的に売りたくなるかも知れませんが)、上記のような 株価堅調上昇・毎年増配株は、下落相場に直面しても 売る必然性を感じにくいでしょう。
長期で標準偏差が小さくソルティノレシオが良いという特徴の中に、連続増配株の、安易に売られることが少ない(=株価が下がりにくい)性格が現れていると考えられますね。


連続増配銘柄は、株価上昇率でグロース株に見劣りし、表面的な配当利回りでは(業績不調な) 高配当株に劣るので目立ちにくい地味な銘柄である場合が多いですが、実は、保有するのに一番低リスクで、じわじわと株価が上昇し知らないうちに配当が増えている 業績が好調な 安定経営の株です。


これに対して、 低位株は (たとえ高配当であったとしても) 安いので容易に買い戻しができるために 簡単に売る決断ができて売られやすく、その結果、経済ショック等で大きく値下がりし、(将来成長期待が薄いので) ショック後も 多くの投資家から買い戻されることなく、回復の遅れが長期化するという構図だろうと考えます。なお、大きく下落した高配当な低位株を大底値で拾って長期で回復を待つという戦略はあり得ます。ただし中途半端な中間値で買ったとすれば、次の経済ショックや業績不振による下落リスクも一緒に買ってしまっているので、底値で拾えていなければ、安心して長く保有することを意外と難しく感じる局面に遠からず直面するでしょう。複利効果が無いので配当収益も実際のところ 期待したほどには上がりません。このことは、筆者自らの実践経験の中から 実際に経験して学びました。



連続増配銘柄は 資産形成において、収益力が着実で、長期のリスクが少なく安定感のある投資対象と考えられ、今後ともインデックス銘柄と合わせて 主力2本柱として 有効に活用したい状況です。



本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。