森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

損出しクロスの効果


こんにちは。


暑かった今年の夏も 9月の上旬を過ぎて、少し涼しくなりましたね。
昼間でも冷房無しで過ごせる日が出てきました。


これから秋の行楽の季節でしょうか?
とは言え、新型コロナの感染者が毎日新たに500人超出ていると、なかなか例年のようには行かないですね。


そうこうして秋風を感じていると、いつの間にか年末になってしまうのでしょう。


年末と言えば毎年の税金年度の締めですが、資産運用の株や投信の売却でも利益が出ると、
当然に所得税がかかります。
少しでも節税したいと、含み損のある銘柄を売って売却益を少しでも減し、税額を減らすテクニックを「損出し」と呼んでいます。



ところで「損だしクロス」というのはご存知でしょうか?


「損出し」はご存知でも、「損出しクロス」までは知らないという方もおられるかも知れません。 私も少し前までは知りませんでした。


売却益所得(税制上の譲渡所得)を減らすためには、含み損のある株を選んで売らなくてはなりませんが、かなり大きな含み損があっても売りたくない株というのはあるものです。
たとえば配当金が良い場合で手離したくない場合などは、「配当3年分で含み損は取り戻すから気にしない!」・・等と。


こういう場合には、「損出しクロス」が使えるかも知れません。
含み損のある株を売って、同じ株を翌日早々にでも買い戻す方法です。
権利確定日の間際に売るのでなければ、買い戻せば配当は従前どおりに得られます。
なお同株の平均取得価格は、買い直した価額に完全に置き変わります。


実際に、「損出しクロス」の効果を、模擬的なケースで確認しましょう。



Sさんは、以前に銘柄Aを総額700万円で購入したが、その後株価が上昇して800万円になったので、利益確定のために売却したとしましょう。
売却益は100万円です。
Sさんは特定口座の[源泉徴収あり]を選んでいるので、このまま終わらせると、
20%(正確には20.315%)の所得税を納める必要があります。約20万円が持って行かれます。


ところでSさんは、含み損50万円のある銘柄Bを持っています。しかし、配当利回りが良いので、売却するつもりはありません。


その銘柄Bは2500円の時に1000株買いましたが、その後値下がりして2000円になっています。一方で銘柄Bの配当は一株あたり100円出るので、年間で10万円出ます。購入価格ベースの配当利回りは、100円÷2500円=4.0%で 高配当です。 
B銘柄は安定株で、このところの値動きは安定しており、業績を見てもこの先 株価が大きく
下がる材料はないと見ており、B社も一株配当水準の維持を宣言しています。



さて銘柄A売却の納税に対応する対処法としては、3つの選択肢があり得ます。


・ケース1:銘柄Aの売却だけで終わらせ、所得税 約20万円を納める場合
・ケース2:含み損50万円の銘柄Bを損出し売却する場合
・ケース3:含み損50万円の銘柄Bを損出し売却し、翌日にBを同じ株数買い戻す場合
       (仮定として、売った価格と同じ価格で買い直せたとします。)


上記のケース1、2、3 について、口座の残高の変化をシミュレーションし、損得を比較してみましょう。  
A銘柄を今年の年末に売却し、その後、翌年の年末の口座(評価)残高を比較するものです。
一応の前提として、損出しクロスの有無による差異だけを単純に比較するため、簡単のために、銘柄Bは来年の年初から年末まで、株価の値動きが無いものとします。


まずケース1の試算表をご覧ください。


所得税を払って残高は、988万円となりました。



次に、ケース2です。



銘柄Bを損だし売却したので所得税の節税効果はありました。
ただしBの配当収入はなくなっています。



最後に、ケース3です。



節税効果が表れて、従前どおりB株の配当収入が得られています。



特に、ケース1とケース3を比べていただきたいですが、どちらも、翌年末には銘柄Bを以前と同じ株数を保有しており、同じ金額の配当を得ています。
ケース3(損出しクロスする)は、ケース1(銘柄A売却後に何もしない)に比べて10万円
有利になっています。



整理します。


【損出しクロスの利点】
 ① 利益確定売りに対する所得税が節税できる
 ②(高配当などの理由で)好きな株を持ち続けられる
 ③ 含み損のストレスから解放される(この場合、B株の含み損がリセットされました。)


【損出しクロス売り実行上の注意】
 ① 年内の開場日に 損出し売りを完了することが必要。(年を越さないこと。)
 ② 損出しクロス銘柄の売りと買いを同じ日に行わないこと。
   (税法上、売りよりも買いが早い時刻に行われたと見なされ、B株の平均取得価額が
    変わってしまい、節税効果が半減するそうです。)
   (なお、信用売りを行えば同日に売り買いできるそうですが、筆者は信用取引は
    行いません。)
 ③ 含み損があって売ってクロスで買い戻した株が その後値上がりし、それを売る際に
  は、譲渡損益は新しい取得価額で計算されます。あたり前ですが。



損出しクロスは効果がありそうなので、今年末にやってみようと考えています。


今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。