森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

主要ETFのパフォーマンス総覧


こんにちは。


米国株が年初来より下落が続き、底打ちがまだ見えて来ない状況です。
市場全体の傾向と 各セクターの傾向を把握するため、ある分析を してみました。


以下の二つの観点で、10あまりの主要な セクターETFのパフォーマンスを比較してみました。



1.【中期的観点】


 米国株の下落が 今しばらく続き、コロナショック前の水準まで戻りかねないとの観測もありますので、中期的観点として、”コロナショック直前来” のパフォーマンスを数値化しました。


表1は、主要なETFの コロナショック直前月末(2020年1月27日)来のトータルリターン率を計算し、リターン率が高い順に並べてみました。
トータルリターンとは、「一株あたりの株価の上昇額+ 対象期間の一株あたり配当額」を意味します。


これをもって、ETFの『中期的パフォーマンス』の 一つの尺度とします。
2022年9月末までの通算成績なので、コロナ下落と 利上げ下落の 二つの下落局面の変化をも しっかり含んだものです。


  【表1】


概ね2年8か月の通算成績ですが、やはり グロースのQQQや情報技術系、トップ500大手のインデックスである VOOが強いです。


一方で、何と、ヘルスケアセクターのパフォーマンスが QQQやVOOを上回っていたという結果が出ました。
また連続増配の2銘柄 (NOBL, VIG)は、S&P500や 全米 に対して大きな遜色がない中で、配当を加えた高配当ETFに勝る結果です。


調査対象の 全12銘柄のETFの順位は、上表の通りです。



2.【下落局面での 耐性観点】


次に、投資保有する立場からは、下落局面で下げが小さく踏ん張れるかが気になります。
下落局面での耐性評価という観点から、2022年 年初来のパフォーマンスについても、同様に数値化比較してみました。


その結果が、表2 です。


 【表2】


1項と順位が全く反転する結果になりました。


第1位に 公益事業ETFが入り、以下、上位は高配当セクターや 生活必需品セクターが入りました。
コロナショックからの回復局面のバブル相場でPERが膨張した VOO, VTI, QQQ, 情報技術セクター などは、調整されて 大きく下落した結果が出ています。



これらの結果は、想定通りだとは考えますが、投資家は結局どうしたら良いのでしょうか??


この先15年以上長期運用する方々は、短期の下落は気にする必要はないでしょう。
むしろ大きく下がったグロース銘柄などを仕入れるチャンスが近づいていると言えます。


一方で、定年を過ぎたシニア層は、資金需要の時期が近い人もおられるでしょうし、投資情報リテラシーが永遠ではないことを勘案すると、残存運用年数によっては、下落耐性に優れた銘柄や 債券の比重を高めてゆくべき時期に来ている方々も少なくないと思われます。


かと言って、まだ 5年から10年運用できる人は、キャピタルが伸びず 配当は出るがヨコヨコ か ジリ安 というのも もったいないですね。
キーポイントは、「0 か 100 の どちらか一方」ではなく、「業績堅調・バランス・分散」 でしょう。


具体的に言えば、「中期の成長度」と「下落局面の耐力」の『バランス感』が良い銘柄をメインに保有することだと考えています。ソルティーノ・レシオが 具体的な着眼点になって来るということですね。



3.【総合評価】


上記の「表1」と 「表2」で、それぞれの観点で 代表12銘柄のETFの順位が出ていますので、総合的な《順位点》を評価してみましょう。


その結果が、表3 です。



 【表3】



「1項の順位」と「2項の順位」を足して出た「数字」を、総合評価の《順位点》と定義します。
《順位点》の数字が小さいほど、総合的なバランスの面で優秀 ということになります。
ドキドキしないで持ちやすく、ゆっくりでも 着実に増えて行く、ということですね。


ヘルスケアETFは、中期パフォーマンス も 下げ局面耐力 でも 最上位グループの成績を上げており、総合的な順位点で 断トツの結果(①位)になりました。
ここまで抜きんでいたとは正直驚きでした。
この評価の正しさについては、参考にされる方は、是非自ら過去データで確認してみていただきたいです。(もっとも、この傾向が今後とも永続的に続く保証があるという意味ではありません。)


筆者は、2021年末~2022年初にかけてアップしたブログで、「2022年は全体に下げるが、ヘルスケアは比較的固い」と予想して、今年はある程度重点的に買い増しをしました。
ただ、もっと積極的にヘルスケアETFを増やしても良かったかな、という感想を持ちました。


やはり、先入観 や 思い込み に固執せず、事実を 数字で 自らが 分析して改良することが大事だな、と今更ながら思い知りました。


②位に入った「配当貴族ETF」は、表1の順位と表2の順位が 共に Aクラス (上位半分以上)に入ってバランスが取れており、同じく 同点②位に入った「生活必需品セクターETF」 とともに、いつ買って保有しても、キャピタルが中速以上で伸び 下落局面でも底堅いので、安心感があると考えています。
ETFのNOBLは日本からは買いづらいですが、円建ての投資信託が野村から出ています。



筆者は、この先、数年後のEXITに向けて、下落のブレ幅(標準偏差)を出来るだけ抑えながら、緩速でも良いので現状よりは 評価額を増やすことを目指しているため、今回の分析結果を参考にしながら、その方針に 最も適合する2, 3の銘柄を選択し、集約して行く考えです。
なお、繰り返しになりますが、長期で運用し、これから大きく増やそうという方々は、大きく下がったナスダック等のETFを買うチャンスが近づいている時期であるということも、また言えます。



本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。