森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

アメリカの大手通信会社


こんにちは。


米国と世界の投資家に絶大な人気がある米国企業に、AT&T社 (American Telephone and Telegraph社) があります。
日本で言えば NTT のような存在で、携帯電話、長距離インターネット、メディア(ワーナーメディアの映画コンテンツ)などの事業を行っており、歴史的な名門企業でもあります。


AT&T社の2020年度の決算売上高は 1718億ドル(約 18.9兆円)で、時価総額は2060億ドルでした。その時価総額は NTT社の2倍、KDDI社の3倍の大きさの超大手企業です。
ちなみに、米国内の通信ビジネスでトップシェアを競い合っている大手のベライゾン社(Verizon)は、元々AT&Tの一部門であった Bell Atlantic が独立してできた会社です。


さてそのAT&Tですが、2020年度の年間決算は メディア事業の減損処理が大半であったとは言え、当期純利益が▼51.8億ドル(約 5700億円)の赤字を計上するに至りました。減損とは、利益を生んでいない事業用の資産を、その評価額を下げる形で赤字計上することです。事業経営計画の失敗を意味します。

直近7,8年でのAT&Tの赤字は見たことがありませんでした。(調査不十分かも知れませんが。)


そして、その課題のメディア事業の不振で株価も低迷気味で、大半の米国企業が コロナ前の株価を3割以上も上回って復調する中で、AT&T社はコロナ前株価の70%ほどの水準で苦戦気味となっています。



さてAT&T社をもう少し深掘りしてみましょう。
電話の発明者として有名な グラハム・ベルが1877年に設立した ベル電話会社が源流です。
その数年後、1885年にAT&T社として正式にスタートしました。
当時は傘下に ベルシステム研究所と、装置製造子会社である Western Electric社を抱えていました。


グラハム・ベルと言えば、トーマス・エジソン とともに アメリカの2大発明家と言われているそうです。
グラハム・ベルは電話 (何kmという遠く離れた地点間の音声を電気信号で伝える方式)を発明し、エジソンは 白熱電球や蓄音機を発明した人として有名ですね。
これらの発明が無かったら、現代のインターネットや 携帯電話、そしてデジタル家電も無かったと言っても過言ではなく、人々の生活を一気に近代化させる基礎になった 画期的な発明と言えると思います。



次に、遠い遠い関係ではありますが、筆者にとってAT&T社は全く馴染みがないというわけでもありません。


その一つは、筆者が新卒で就職した会社 (通信機・コンピュータのメーカ)は 古く1899年に発足した会社ですが、その設立は日本の某実業家 (個人)と 米国のWestern Electric社との間で、日本発の合弁会社として設立された会社でした。このWestern Electric社は、上に書いた通り AT&Tの製造部門である子会社でした。つまり私が入社した会社は、AT&Tの資本を使って発走した会社であったわけです。
(現在は100%日本資本の株式会社で、AT&Tとは資本関係は全くありません。)


もう一つ、筆者は 会社の関係で、8年余り 米国テキサス州のダラスで仕事をしていました。単に地理的な話ではありますが、AT&T社の本社は(登記はデラウェア州だそうですが、実際には) テキサス州ダラスにあって、そのビルを身近にしばしば見ていました。
ダラス在住中、時々商用や遊びでダウンタウンに行きましたが、AT&Tの本社が高速道から良く見えます。「これが あの有名なAT&Tの本社か!」と思いながら車の運転をしていたものでした。地域のAT&Tグループの通信機販売会社に、私がその開発に関わっていた製品を納入したこともありました。




こういった縁のあったAT&Tですので、筆者が米国株への投資を開始しようと思った際には、ほとんどためらいもなく一番最初に買った銘柄が、高配当銘柄として非常に良く知られた AT&Tでした。そこそこの金額を投資しました。


しかしながらその後、株価下落で含み損が大きく膨らみ、また高配当株投資自体のリターンがあまり芳しくないことにも次第に気づいて来た段階で、残念ながら昨年の夏から秋にかけてAT&T株の大部分を手離すに至りました。
手離すにあたっては、含み損を継続保有する心理的な苦しさから逃れられる安堵感と同時に、一番最初に買った銘柄であり また同じ通信に関連する事業に長年携わって来たこともあって後ろ髪を引かれる思いが強かったことを今も覚えています。


個人的には大事な家計資産の管理上の理由で、投資でのAT&T社とは縁が切れましたが、電気通信とインターネット事業に長年携わって来た者として、AT&T社には 復活して また元気になって欲しいと考えています。



本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。