森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

AT&T株を全売却


こんにちは。


米国の大手通信サービス事業会社であり、また高配当銘柄として投資家に非常に人気が高いAT&Tが、3年足らず前に買収したワーナーメディアをスピンオフして ディスカバリー社と合併させる計画を2023年までに実行するに伴い、配当が約半減することと、それに呼応して株価が更に下落濃厚という観測で、投資家たちのネットでの騒ぎが大きくなっています。


筆者も一定の株数を持っており、米国株投資で一番最初に買った株で大変愛着もありましたが、ブログ仲間のメッセージにも刺激を受け、自ら考えた上で昨晩に全て売却しました。


米国現地時間の7/2(金)は、朝方の定例の雇用統計の発表を受け、「金融当局が資産購入のテーパリング(段階的縮小)を性急に開始することはない」との見方が強まった結果、株価が上昇する地合いとなり、筆者が売却注文を出したAT&T株も 指値を上回って約定することができました。
昨日時点で約1%の含み損を持っていましたが、それが大幅に縮小し、(これまでの配当を別として)ほぼ 損失ゼロで解約できました。



さて、AT&Tから得ていた配当金(配当利回り 約7%)が、次の配当払い出し日からなくなりますが、売却で戻った資金をどう活用すれば良いでしょうか??



人によって選択は様々でしょうが、筆者の場合に当てはめた選択肢の案をいくつか挙げ、それらを検討してみたいと考えます。
以下、A~Dの4案を考えます。


・選択肢A:AT&Tとほぼ同等の高配当株を探して買う
・選択肢B : (株価の上がらない高配当の個別株は諦め)  株価成長 年約5%、年配当2%前後の株を買う
・選択肢C:個別株ではなく、堅調配当の「ETF」を買う
・選択肢D:円建ての堅調な投資信託に乗り換える



さて、あくまでも筆者の立場で、一つひとつ、見解を述べます。


<選択肢A> 
 7%もの配当利回りがあって株価下落リスクの少ない個別株は少ないですね。
 一見 高配当でも業績不振の低位株か 投資対象がハイリスクな銘柄が殆どで、それらは中期的には時代の役割の変化により、一般的な銘柄よりも高めの下落のリスクが存在すると考えます。


 通信株ならば経営安定なBCEあたりを株価が下がる循環を狙って買うのも一案です。現在の新規購入の配当利回りは5.8%で今のAT&Tには届きませんが、年率5%平均で増配実績がありますので、2, 3年保有すればYOC利回りとしては追いつく可能性があります。考慮に値します。



<選択肢B>
 B案も現実的な選択肢です。総資産の増加度で言えば、配当利回り7%と同程度です。
 ただ、筆者の場合はETFなど分散の効いた安定成長の銘柄を志向しており、個別株の変動リスクをこれ以上取る状況にはないです。



<選択肢C>
 これは非常に現実的な選択肢です。
 VYMあたりが最有力候補と考えます。(VIGでもほぼ同等の安定感です。)
VYMであれば、10年トータルリターンの 年平均リターン率が15.7%ありますし、何といってもダウ平均と似た値動きをしますので、どのみちAT&T以外にも米国株やETFを運用しているのであれば、米国投資全体でのリスクは、改善こそすれ、悪化の恐れは無いでしょう。


長期投資目線で大きく捉えれば、AT&T株は最近の10年 株価は上下動こそすれ、結果的には全く上がっていないので資産形成の観点から言うと、7%の配当が毎年あったとしても、総リターンが年平均15.7%の安定成長的なVYMに対して半分以下に劣後しています。AT&Tの配当を再投資するとしても、残念ながらその差を埋めることは事実上困難です。
なお、VYMは直近1年で配当が$2.9/株 出ており、 仮に最新株価 $105.6で買った場合でも そこそこ2.75%の配当利回りがあり、今後とも増配されるでしょうから、株価が上がることのプラス面と配当観点の両面から見て、有力な選択肢だと考えます。



<選択肢D>
選択肢Dは、円建ての堅調な投資信託に乗り換える案ですが、『高配当株に遜色のない現金を定期的に入手したい。』というリクエストにも対応できる案です。
選ぶ投資信託は、無分配のものでもOKです。


詳細に説明します。
現実感を出すために、候補の投信を挙げます。
また、筆者の保有している投信だけ挙げると手前味噌のように見えますので、以前から多くの投資家の定評が高く 筆者が保有していない投信も含めます。
長年の実績のある2例を挙げます。


それらは、
 ① ニッセイ 外国株式インデックスファンド (筆者保有していません。
   ★長期に実績のある市場インデックス・ファンドの代表として
 ② アライアンスバーンスタイン米国成長株Bコース(筆者運用中。)
   ★長期に実績のある堅調アクティブ・ファンドの代表として。
です。


もちろん必ずしも上記に例示した投資信託である必要はありません。実績が堅調ならOKです。
人気の高い eMaxis slimインデックスシリーズでも良いですし、敷居の高かったナスダックのインデックス・ファンドを始める一つの契機チャンスでもあります。



まず、カレンダーイヤーの各年単独のリターン率を おさらいします。
モーニングスターのスマホアプリからデータを引用させて頂きました。
(ニッセイは、設定が2013年12月10日のため、2012と2013のデータはありません。)


               ニッセイ  A.B.(B)
  2012          -                 26.3%                        
  2013          -                 64.7%
  2014      22.6%          31.5%
  2015       -1.6%          10.8%
  2016        2.7%           -2.4%
  2017      18.6%          27.3%  
  2018     -11.1%           -1.8%         
  2019      28.9%          32.3%
  2020        9.0%          25.1%
  2021      19.6%          15.6%
(2021年は、6月末までの中間値です。)


現在までの期間トータルの「年平均」では以下のようになっています。


                                ニッセイ  A.B.(B)
  5年の年平均         14.37%         20.9%
7.5年の年平均          11.0%           25.4%


どちらも年平均です。良い値を示していますね。


2018年など、タフな年はありましたが、いずれにしても平均して11%から20%のトータル・リターンが毎年来ます。
ニッセイは、分配金を出さない投信で、信託報酬は0.1%/年、購入手数料も解約手数料も0円と良心的です。
A.B.(B)は、分配金が 年1.06%程度。ネット証券で買えば購入手数料はゼロで、信託報酬は1.73%と少し高いです。総リターンは長期平均で見ても かなり高位です。


さて、両投信ともに、分配金は1%程度もしくはゼロなので、AT&Tの配当利回り7%相当のキャッシュを自動的には手にすることはできません。


しかし、ベテランの投資家がよくやるという手があります。
たとえば、試算のための仮の数字として、AT&Tの株を切りの良い100株持っていたとし、それを売って(円安でもあり) 円で決済し、35万円を手元に戻したとします。
これで、ニッセイの「外国株式インデックスファンド」を買ったとします。
手数料は0円です。


年平均では 少なくみても、信託報酬控除後で 11%のトータルリターンが得られますので、ニッセイの場合は分配金がゼロですがら、1年後の評価額は, ¥350,000 X 1.11 =   ¥388,500  になっていますね。


この段階で実行できる妙手として、初めに投資した35万円を超えた部分だけ解約します。これは実は、手堅く最終利益を出し、配当性向が高い企業の配当の出し方と似ているのです。
配当を貰うことと、部分売却で一部を利益確定することは理論的に同じとされていますが、そのことと似ていますね。


さて話を戻しますが、そのようにして税引前で 38,500円の利益を確定させるのです。なお、解約手数料は0円か 微小です。

株式ではこのように任意の金額分だけを解約することはできません。
次に所得税と住民税を20.315%源泉徴収されて、手取りで 30,679円 を手にできます。
この金額は、AT&T 100株の税引後の配当金に負けていないと考えますが如何でしょうか? これを、他の株に再投資しようが、お小遣いで使おうが、生活費の補充にしようが、全く自由自在です。
更に言えば、必ずしも超過益の全てを解約する必要はもちろんなくて、自分の必要な範囲で換金すれば良いし、あるいは、次に買いたい株がまだ決まっていなければ、決まるまで換金しないで置いておくことができる。そうすれば、置いておいた口数分、換金までの期間の運用益が増えます。株式の場合は、配当日が来ると否が応でも現金が払い出されて来ますから、現金になってしまい使い道が決まっていない場合は運用益は付きませんね。
米国や全世界のインデックスファンドなど、比較的下落日の割合が少ない優秀な投信は、資金を一時滞留させる場合にも有利ですね。


また話が脱線しましたが、元に戻すと、含み益分だけ解約したあと、最初にニッセイに投下した投資額の35万円は減ることなく そのまま投信内に温存され、運用が継続されます。
そしてその次の年も、多少の変動はあるでしょうが、やはり38000円 前後 の利益を生み出している可能性が高いでしょう。
あくまで数年を平均した場合の平均的なリターンです。 年平均利回り11%です。


もしも、AT&Tの株を売らないで そのまま持っていたとしても、株価が上がる保証はないですし、むしろ今回のケースでは四半期毎の配当落ち日を経るごとに下がるリスクがありますし、減配は確定的です。
株価が下がった場合には、減額された配当をもらっても帳消しになりますし、今後の分のトータルリターンはマイナスの可能性も小さくない状況です。そうなると資産形成には寄与しません。


投資信託の妙味は、100円単位で換金できて非常に柔軟な金額で現金化できるので、ベテランの投資家は無分配のリターンの良い投信を買って、上記のように含み益増に応じて一部を現金化し、個別株の配当のように受け取ることは、比較的常套手段の一つになっているようです。(金融機関の方から聞きました。)
なお、若い投資家は毎月しっかり給料を貰っているので、投信の利益を部分解約して現金を入手する必要は元々ありません。それよりも逆に、給料から投資先に入金する方が大事です。



〘筆者の戦略〙
筆者は、選択肢CかDになりますが、定期的に一部現金化するかどうかは別として多分D案で運用する方向です。
D案は何かと融通が利いて、投信も基準価額はもちろん変動はしますが、良い対象ファンドを選ぶ限りにおいて、株より変動は穏やかでリターンが安定しているので、あまり迷いはありません。


実際の対象投信は、多分 筆者の3本柱のどれかです。
それは、全世界(or 米国)のインデックスF、配当貴族投信、A.B.(Bコース) のいずれか。


最近、個別株のリスクを わざわざ取って常時管理することに疲れて来たという理由もあります。


首尾良く リ・アロケーションできることを願っています。



本日も最後までお読みいただき、大変ありがとうございました。