森のそよ風のブログ

ゆっくり資産運用と、日常の記録

配当貴族25銘柄ポートフォリオの特性


こんにちは。


筆者は投資の一環として、野村AMが運用する投資信託である「米国株式配当貴族」を購入しており、米国のS&P500配当貴族指数に注目しています。
今日は、配当貴族指数に採用されている銘柄の実力を考察してみたいと考えます。


配当貴族指数は、
https://japanese.spindices.com/indices/strategy/sp-500-dividend-aristocrats
をサーチしていただければ掲載されていますが、S&P500銘柄のうち過去25年間継続して毎年増配している大型優良株で構成する株価指数です。日本の投資家にも静かなファンが少なくないと思われます。野村AMの配当貴族シリーズ投信の純資産は増加しており、350億円を超えたようです。


この指数の主な特徴は、
 ・S&P500指数に採用されている銘柄から選定
 ・構成銘柄数:65銘柄(25年以上 連続増配)
 ・概算平均時価総額:86904 Million US$
 ・組み入れウェイト:均等
 ・65銘柄の平均ウェイト:1.54%
 ・ウェイト上位10銘柄の合計:16.9%
 ・最大ウェイト:2%
とされています。



さて今日は、配当貴族指数に採用された主な銘柄で構成する「森の風流 配当貴族25選抜 ポートフォリオ」のパフォーマンスを測定してみましょう。


測定ツールとして、いつもの Portfolio Visualizerを用いますので、ポートフォリオの構成銘柄数は、25銘柄となります。
本来は、配当貴族指数に採用されている65銘柄全てでポートフォリオを組みたかったのですが、フリー利用のシミュレーション条件に制約があり、致し方ありません。



1.シミュレーション対象ポートフォリオと組入銘柄


「森の風流 配当貴族25選抜 ポートフォリオ」に組み入れた25銘柄は、下表の通りです。


 【表】 配当貴族 25銘柄 一覧



「第1グループ」と「第2グループ」に分けてありますが、分類趣旨は下記の通りです。


第1グループ: 野村AMの運用する 2種類の「米国株式配当貴族 投信」のホームページにて、組み入れトップ10銘柄 として掲載されているものです。
上記の10銘柄は、組み入れ比率が 65銘柄全体における1銘柄の平均よりも高いとされているので、今回テストするポートフォリオにおいても、組み入れ比率を 1銘柄平均の4%よりも大きめに設定しました。


第2グループ:S&P500配当貴族指数に採用されている65銘柄のうち、上記第1グループに既に入ったもの以外から 15銘柄をピックアップしました。この時、野村AMの「米国株式配当貴族 投信」のホームページに掲載されている セクター比率の分布に近い数値になるように、セクターを意識して第2グループの 15銘柄を独断で選びました。第2グループの15銘柄の占有率は、それぞれ一律に3.8%としました。(投信のホームページには銘柄組み入れ比率の詳細なデータが無いので、やむを得ません。)



以上の説明からわかりますように本ブログの内容は、あくまでも、「森の風流 配当貴族25 選抜 ポートフォリオ」をバックテストして分析した記事 ということになります。



2.シミュレーション要領


<バックテスト期間>
(1) 直近の6か月間(2020/11/30~2021/5/31)
(2) 最近の5年間通算(2016/5/31~2021/5/31)


<ベンチマーク>
  VOO(S&P500指数準拠のETF)



3.シミュレーション結果


(1)直近6か月



結果は、上図の通りです。
字が小さくて見にくいので恐縮ですが、PC画面上で拡大してご覧ください。


対象ポートフォリオとVOOを比較したポイントは次の通りです。
・トータルリターンは、「配当貴族25選抜」がやや上回った。3月以降、5月末までの期間に大きく伸びたのが効いた。これは一過性の現象かも知れません。
・シャープレシオ/ソルティノレシオは、上下動が少な目に上昇したVOOに軍配。



(2)最近の5年



結果は上図の通りです。


対象ポートフォリオとVOOを比較したポイントは次の通りです。
・5年通算でのトータルリターンの着地数値は、 偶然にも非常に近いものとなりました。
 5年の間 終始VOOの方がやや上位にありましたが、「配当貴族25選抜」は 2021年の3月~5月末までの間で大きく挽回して伸びました。


・シャープレシオ/ソルティノレシオは、5年を通算すれば 今度は 「配当貴族25選抜」が勝っていますが、VOOとの差は大きいものではありません。



4.考察


今回の分析は、投資信託の「米国株式配当貴族」の分析ではありません。
冒頭にも述べたように、いかんせん、配当貴族指数65銘柄中の25銘柄(=40%弱)しかポートホォリオに取り込めていないため、精度が不足し過ぎているためです。


今回、独自に設定した 配当貴族25銘柄を組み入れたポートフォリオの結果から乱暴に類推してに言えば、次のようなことが言えそうです。
あくまでも大雑把なコメントです。


 ① 大雑把に言えば、配当貴族銘柄群と SP500銘柄群 の運用パフォーマンスには、
  著しく大きな差は生じないように思います。
  しかしながら、VOOの方が上回っている期間は相対的に長いと思われます。
  なぜなら、配当貴族指数は65銘柄、VOOは500銘柄から成り立っていますので、
  (均等分散か、時価総額加重平均かの違いはありますが)VOOの方が分散されており、
  滑らかな株価変化になると想像します。


 ② 配当貴族銘柄は、「長期金利高の警戒期」や「インフレ警戒期」など、バリュー株が
  好まれる景気循環期には、株価が上昇し易いと見えます。


 ③ 補足ですが、今年の6月に入って再度グロース株が見直されてきた局面にて、
  配当貴族選抜25ポートフォリオのチャートと同様に 「配当貴族投信」の基準価額の
  上昇が足踏みしています。
  この足踏みが この先も続くのか、一時的な「押し目」に過ぎないのかどうかは、
  容易には判別はつきません。



5.総括


繰り返しになりますが、今回のブログは、投資信託の「米国株式配当貴族」の分析ではありません。


従って、「配当貴族投信」と S&P500・先進国インデックス・世界インデックスの投資信託と比較して、どちらが有利かは今回の結果からは一概に言えません。
モーニングスターのサイトなどで、投信同志を様々な期間で直接比較検討した方が良いですね。


ほぼ同等のリターンならば、市場インデックス投信の方が信託報酬が安いので、言うまでもなく賢明な選択でしょう。


ただ、「配当貴族投信」を保有する意義があるとすれば、グロース寄りの投信を別に保有する場合には、経済の転換に対応する補完的な(リレーの第2走者の)位置づけで、バリュー株投信として「配当貴族投信」を買う選択があり得ると考えます。
シャープレシオ、ソルティノレシオともに良好な値を示していますので、安定性に大きな問題はないと考えられます。


投資は、ご自身の判断でお願いします。


本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。